第50話：原因 ページ5
彼の家は想像以上よりも大きかった。一軒家の二階建て。でも周囲の家より幅が広くて、部屋数が多そうな造りになっている。
先程「俺達の家」と言っていたから、他に同居人がいるのだろう。前に生徒会室で会ったという弟さんかな？
ノーレ「帰った。」
貴方「失礼します……。」
ノーレは躊躇無くオートロック式の豪華なドアを開くと、部屋の奥からバタバタとスリッパの音を鳴らして現れたのは、恐らく上級生でノーレのシェアハウス仲間だった。
？「おかえりなさい。わぁ…！いらっしゃい。僕はティノ・ヴァイナマイネンです。」
貴方「五十嵐Aです…！突然お邪魔してしまってすみません…。」
ティノと名乗るヒトは、ニコッと微笑むと私をリビングへと誘う。家は木造で温かみがあり、とても明るい。なんだか、懐かしい感じがする…。
ノーレ「フィン。足怪我すてらはんで、手当すてけでぐれ。」
フィン「はい。Aさん、足見せてくださいね。」
アレ…？さっきはティノと名乗っていたはずなのに、フィンと呼ばれている…。ノーレもそうだったけれど、みんな名前とあだ名(？)は違うのかな。
貴方「あ、あの。ティノさん…はどうして、フィンと呼ばれていらっしゃるんですか…？」
フィン「ん？ああ、それね。僕がフィンランド共和国だからですよ。」
貴方「あ……。じゃあノーレは…。」
ノーレ「ノルウェー。」
貴方「なるほど…。」
フィンは器用に手当をしながら、私に沢山話しをしてくれた。ここの家には5人で住んでいること。彼等が北欧の国であること。聞けば聞くほど、懐かしさを感じるのは何故だろうか。
フィン「それよりも、この怪我…。とても腫れ上がっているし、何があったんです？」
貴方「あ…ああ。自分で転んでしまったんです。」
ノーレ「嘘だな。」
フィン「もう。そんな嘘すぐにバレるんですから。素直に話して下さい。」
貴方「……。」
ボヤっとしているように見えて、この2人よく人を見ている…。誤魔化せそうにもないし、素直に話す方が良いだろうか。
貴方「誰だかは分からないのですが…。押されてしまって…それで。」
フィン「誰かは分からないって、初めて会った人でしたか？」
貴方「はい…。綺麗な女性でした。」
ノーレ「ふぅん。ソイツは他さ何が喋ってねがったが？」
貴方「えっと…。ヴァルガス先輩の婚約者になる予定だと。」
フィン「それって…。」
それを聞いたフィンは、何かを思い出すかの様に考え込んだ。
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作者名：暁兔 | 作者ホームページ：
作成日時：2023年5月13日 22時
