第59話：朝 ページ14
翌朝。いつもより少し早めにカークランド邸を出た。彼等と別行動をした方が良いという話を昨夜したからだ。
彼等と一緒に住んでいることは、あまり知られない方がいい。今以上に女生徒から恨まれることは避けたいのも事実だ。
長い道を歩いて門を出る直前に、後ろから声をかけられた。
マシュー「おはよう、早いんだね。」
貴方「あっ、マシューさん。おはようございます。マシューさんこそ、もう登校ですか？」
マシュー「うん。自転車で通っているんだけど、少し遠いんだよ。でも今日はいつもより早起きしたから、まだ余裕があるんだ。そうだ、途中まで一緒に行こうか。」
貴方「お時間が許すのでしたら、是非。」
マシューさんの制服に見覚えがある。私立の学校で、この辺りでは特に偏差値の高いことで有名だ。ネクタイの色でクラスが分けられているらしい。彼がどの様なクラスに属しているかは分からないが、道行く人は彼をジロジロと見る。
マシュー「ん…ごめん。もしかして気になる？」
貴方「え？」
マシュー「人に見られること。普段はあまり目立たないんだけれど…。この制服だと、よく人に見られるんだ。」
貴方「あ…いえ。なんだか凄いなって…。マシューさんは、どんなことをお勉強されているんですか？」
彼も国の1人だし、大抵の事は分かっているだろうに。それ程まで学びたいことがあるのだろうか。
マシュー「えっと…。僕は法学を少し。」
貴方「法学…ですか？」
マシュー「…うん。本当に趣味みたいなもの。ただ、各国の法学を知って、国をより良くするために取り入れたい…。そういう感じ。」
貴方「国のために…。」
マシュー「豊かでは無い国は、内職とか色々するでしょう？勿論それで国が保てるなら構わない。僕も、色々やってきたし…。でも、僕だけが努力する国はいつか亡くなる。国は国民がいてこそのものだと思っているんだ。だから、彼等を守れる法を見直すことが、国の発展にも繋がるかなって。」
貴方「素敵です。きっとマシューさんの国の人達は幸せになります。私も国のためになることを考えないと…。本当の国が帰るまでは…。」
マシュー「あまり気に病まなくても、君は十分頑張っているよ。」
貴方「ありがとうございます。…あ、マシューさん。」
マシュー「ん？」
カークランド邸でお世話になるなら、せめて学費や生活費は自分で稼がないとと思っていたことを、マシューさんに伝えた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 96人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：暁兔 | 作者ホームページ：
作成日時：2023年5月13日 22時
