第56話：新生活 ページ11
あのアーサーさんとの電話から1週間後。引越しの準備は滞りなく進み、本日より1部屋賜ってカークランド家に住むこととなった。
貴方「今日からよろしくお願いします。」
マシュー「待ってたよ。僕達を選んでくれてありがとう。」
アルフレッド「これから賑やかになりそうだね！よろしく頼むよ。アーサーの料理は食べてられないんだ。キミ、料理は得意かい？」
貴方「は、はい…。それ程上手じゃありませんけど、食べる分には大丈夫かと…。」
アーサー「悪かったな、破壊的に料理が下手で。」
アーサーさんは私へ向き直ると、部屋へと案内すると言い歩き出した。マシューさんと、ジョーンズ先輩も後ろから追いかける。
大きな家なのに使用人を見ない。それに、ここには彼等3人だけしか気配がない。いつか、その理由が聞けるのだろうか。
アーサー「ここがお前の部屋だ。」
貴方「わ…。こんなに広い部屋を頂いてしまって、良いのでしょうか…。」
アルフレッド「良いんだよ、誰も使わないしね。ここにある家具も自由に使ってくれて構わない。部屋に風呂もついているけど、一応広い風呂もあるよ。あとで家の中は案内するから！」
貴方「ありがとうございます。」
マシュー「僕達、今から少し用があるから家を空けるけど…。何かあれば連絡してね。帰ってきたらここへ来るから、それまでゆっくりしていて。」
貴方「はい。」
部屋の扉がパタンと閉じられると、声と足音が遠のいた。
窓から外を覗くと、暫くして3人が門の外へと出て行く姿が見えた。
貴方「……本当に、カークランド家に来たんだ…。」
広い部屋を見渡す。茶色いアンティークの年代物の家具が多く並ぶ。こんなに素敵な物を使わせて貰えるなんて夢みたいだ。
迷惑をかけないように、荷物は最低限の服や雑貨に纏めた。それらはまだダンボールに入っている。彼らが帰ってくるまで、その片付けをしようかな。
そういえば、本田先輩に会って話していないな。今回の事も独断で決めてしまった。もしかしたら、アーサー先輩から聞いているかもしれない。でも自分の事はしっかり話をしないと…。
スマホを手に取り、本田先輩に電話をかける。鳴り響くコール音を聞きながら不安に苛まれていると、優しい声が返ってきた。
菊『はい、本田です。』
貴方「あっ…本田先輩、ご無沙汰しております。五十嵐です。」
菊『ああ…、漸くお声が聞けました。』
貴方「ご心配をおかけしました。あの、今お時間よろしいですか…？」
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作者名：暁兔 | 作者ホームページ：
作成日時：2023年5月13日 22時
