131話：観察眼鋭くていらっしゃるね ページ2
声が聞こえる。誰かが会話をしているような…。
重たい目をゆっくり開ける。視界が明瞭になってきて、
白い天井が眩しく感じた。
？「話してなくてすみません。……ただ、何も分からない状態で、アナタ方に伝えることはあまりしたくなかったんです。」
？「……そう。帰り方はわからないけれど、記憶さえ思い出せば何とかなるんだね。それだけ知れたら、今は良いよ。」
？「いや！良くないだろ！アイツにに何かあった時どうするんですか。今回みたいな突拍子もない事、今後も起こるってことですよね。」
？「それについては何か対策が必要だね。君の言うように、過去と同じ現象が起こった時に、記憶が流入してくるなら、僕達にもそして彼女にもタイミングは掴めない。」
？「それってつまり、防ぎようがない…ですよね。」
この声……アーサー達…？私のことを話しているんだろう。
雪村くんや貴志部くんの声も聞こえる。また迷惑かけちゃったな。
貴方「アーサー…。」
アーサー「えっ……？Aちゃん！！」
名を呼ぶと、アーサーが少し驚いて駆けつけてきた。
アーサー「目が覚めたんだね…！良かったぁ…。何か思い出した？」
貴方「……」
思い出したと言うよりは、恐らく前の世界で目にした記憶。前にも同じようなものを見たけれど、今回は少し詳しく記憶が開示された気がする。
貴方「うん…。少しだけ…。」
吹雪「大丈夫かい？気分は悪くない？」
貴方「はい、大丈夫です。」
亜風炉「今日はこのまま休むといいよ。念の為、明日も自室で休んでいて。」
貴方「……はい。」
亜風炉「うん。それじゃ、僕たちは行くよ。貴志部、あとは任せたよ。」
貴志部「はい。」
吹雪さんとアフロディさんは、深刻な顔をしながら出て行った。廊下からは2人の話し声が聞こえるが、何を言っているのかは分からなかった。
取り残されたアーサーと雪村くん、貴志部くんの三人は、黙り込んでしまっている。アーサーが何か私に関して話したのかもしれない。
アーサー「ねぇ、Aちゃん。今回の記憶はどうだった…？」
貴方「どう…って？」
アーサー「……僕は、君の全てを知っているよ。今回の記憶が、いつのものなのかは分からないけれど…もし良ければ、教えてくれないかな。」
貴方「あはは…。困ったなぁ。あんまりハッキリと覚えてないんだよね…。」
雪村「覚えてない奴がそんな顔面蒼白になるか？」
貴方「う………雪村くん、観察眼鋭くていらっしゃるね…。」
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作者名：暁兔 | 作者ホームページ：
作成日時：2023年3月19日 13時
