925話:行方 ページ10
貴方「あ…そう言えば、請願の湖の水は……鬼の血を少し薄めるんだよね?」
かまいたち「ああ。即効性がないから、あまり意味は無いと言ってはいたがな。」
貴方「昔住んでた時も、あの辺で鬼を見かけたことなかったの。土蜘蛛と大ガマの縄張りだからだと思っていたけど…。」
かまいたち「酒呑童子が故意に近寄らせないようにしていた可能性もあるな。鬼の全てが、あの湖について知っているわけでもないだろう。」
貴方「……吸血衝動を誘発させるけど、鬼の血は薄くなる水…。……ねぇ、かまいたち…。」
かまいたち「…ん?」
貴方「し、信じたく…ないんだけど……。女郎蜘蛛ってもしかして…、酒呑童子と一緒にいるんじゃ…。」
そんなことありえない…はずだけれど、
もし…、もしもこの仮説が正しいなら……。
かまいたち「詳しく聞かせてくれ。」
貴方「う、うん…。」
私達の中に、裏切り者がいた…ということになる。
貴方「かまいたちが鬼になったあの時代の事…覚えてる?」
かまいたち「あ、ああ…。」
貴方「私、あの時呪詛を消すために鬼の力の制御をしていたの。鬼の衝動を誘発させる薬を女郎蜘蛛に作ってもらってた。……その時は何とも思わなかったけど、もしその薬の材料が請願の湖の水なら…。」
かまいたち「その時点で女郎蜘蛛は湖の効能を知っていた…?」
貴方「そう。鬼を元に戻す方法は、その後私が過去に行って、酒呑童子が聞いてきたのが始まり…。だとすると、あの時代に誘発薬を作っていたのは…おかしいと思わない…?」
かまいたち「確かに…。しかし、女郎蜘蛛は土蜘蛛達とも長く一緒にいた。湖の効能を随分前に聞いていた可能性は…。」
貴方「それは…ないと思う。土蜘蛛も大ガマも、鬼のこと話したがらないし…。」
かまいたち「だとすれば、直接酒呑童子から聞いていた…ということだろうな。くそ…もしそうであれば大問題だ…。」
貴方「それに、酒呑童子がどこにいるかなんて分からないし…。」
確証がないことを、他のみんなに知らせるわけにもいかない。どうすればいい……。
かまいたち「ん……?」
すると、私とかまいたちの元に、式神がやってきた。
何やら手紙を咥えている。
貴方「これ、エンマさんの…。」
かまいたち「『緊急招集。今すぐ広間に集まること』……A、とにかくこの件は後だ。広間に行くぞ。」
貴方「うん。」
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ぐりーん(プロフ) - 各々の覚悟が見て取れて感情移入せずにはいられないです...🥲続編ありがとうございます🙇🏻♀️ (2023年2月4日 17時) (レス) @page26 id: ebeccca8db (このIDを非表示/違反報告)
ももこ(プロフ) - 続きが、出てくれて嬉しいです! (2022年12月22日 8時) (レス) @page18 id: 4b14f6b623 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:暁兔 | 作者ホームページ:
作成日時:2022年12月19日 14時