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922話:独り ページ7

気がついた時には、全く知らない場所にいた。
少し古びた家……。家具も何も無い、誰も住んでいないような…。


貴方「カルマ……?」

カルマ「ん…?ああ、起きた?」

貴方「ここはどこ…?」

カルマ「ここは……どこだろう。僕、この世界のことあまり知らないし、方向音痴で地図も読めないから。どこなのか分からないや。」

貴方「え…。」


そんな所へ来て、何をするというのだろう…。
不安に苛まれる私をよそに、カルマは
「君がいなくなったら、すぐに気付かれそうだな」と言った。

私、どのくらい気を失っていたんだろう。
それに、起き上がる力もまだ戻っていない。
今は逃げられない…。このまま、カルマと過ごさないと…。


カルマ「ねぇ…。これは僕の独り言なんだけどさ…。」

貴方「…?」

カルマ「僕ね、仲間がいたんだ…。僕の世界にも、僕の大切な妖怪が沢山いて…みんな仲良しで、大好きで…。なのに、突然消えちゃって。」


ポツリとカルマが話を始める。
カルマの世界ってことは、転生後…ということだよね。


カルマ「それが、転生前の姿で鬼になって…一生妖怪の姿のまま輪廻転生できないだなんて…。驚いて…僕だけすぐに時間を止める結界をはっていたから助かったけれど…。悔しい、仲間を助けられなかった…。」


世界で独り、取り残されたカルマは
きっとこの上ない孤独を味わったんだろう。


カルマ「鬼が原因だと知って…この世界に来て…。僕の前の姿……カルラと出会った。ホント、僕とそっくり……。どうして鬼になったのか聞いたら、君を守るためだって…。はは……健気だよね…。振り向いても貰えないのにさ。」

貴方「……」

カルマ「鬼さえ居なくなれば、あとは鬼から元に戻る方法を探るだけだって…。もうその奇跡の一端は見えているから、僕も協力したくて…。この世界に留まることにしたんだ。」

貴方「そう…だったの…。」

カルマ「僕ね、独りぼっちになって…。カルラの記憶を辿ったんだ…。それくらいしか、やることも無かったし…。そうしたら、アイツの記憶の中…君との思い出でいっぱいでさ。」

貴方「!」

カルマ「見ているうちに…アイツの情が移ったのか、君が愛おしくてたまらなくて…。いつの間にか好きになってたよ。僕は、カルラの記憶があっても…カルラじゃなくて、別人の“カルマ”になりたかったのに…。無理だった…のかな。」


カルマの悲痛な叫びが…私の胸を抉る。
そんな思いを抱えていたんだね…。

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ぐりーん(プロフ) - 各々の覚悟が見て取れて感情移入せずにはいられないです...🥲続編ありがとうございます🙇🏻‍♀️ (2023年2月4日 17時) (レス) @page26 id: ebeccca8db (このIDを非表示/違反報告)
ももこ(プロフ) - 続きが、出てくれて嬉しいです! (2022年12月22日 8時) (レス) @page18 id: 4b14f6b623 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:暁兔 | 作者ホームページ:   
作成日時:2022年12月19日 14時

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