950話:意識 ページ36
春火「お前は、幾度となく吸血衝動を経験し、成長してきた。我の力を扱うことも、もう容易いだろう。お前が望むのならば、我は力を貸そう。この身体を貸してくれている礼だ。」
貴方「本当に…?」
春火「ははは。嘘をついてどうする?……お前が、鬼や妖怪、人間……それぞれを守りたいと思い、努力してきたことを我はずっと誰よりも傍で見ていたのだぞ。お前を心から尊敬し、信頼している。友を助けるなら、今しかなかろう。共に戦おう、Aよ。」
貴方「……ありがとう、春火。」
足がジリジリと痛む。痛みが強くなるにつれて、現実に引き戻されているんだと痛感する。ああ、この痛みを跳ね除けるくらいでないと、誰も救えやしないんだ。
身体が軽い。普段の鬼化よりも、ずっと力が漲ってくる。これが春火の力。私の潜在能力。
女郎蜘蛛「A!」
貴方「
春火と1つになった私の技。炎が全ての敵を飲み込む。
狙ったら逃がさない。消し炭になるまで燃え続ける。
辺り一面火の海だ。毒草の沼も、鬼も
全部燃えてしまえばいい。
貴方「全て消えてしまえ……。」
烏天狗「A!!」
貴方「……」
カルラ「どうしたんだよ!その姿、まさか春火か!?」
貴方(?)「ははは、敏いのぉ…。」
カルマ「しゅ、春火…?」
春火「なんだ、そこの黒髪の餓鬼は初めて見るな。また仲間を増やしたのか。偽物ごときが、増殖しても同じことであるぞ。」
女郎蜘蛛「なっ……!アンタ!Aはどうしたのよ!」
春火「A?ああ、この身体の小娘か?我に力を貸したぞ、甘い言葉に惑わされよって。疑うことを知らん無垢な小娘を騙すなど造作もない。この身体はもはや我のものだ!」
キュウビ「好き勝手してくれるねぇ…。それで、君はもう僕達のことを裏切る気満々ってところなのかな。」
春火「裏切るも何も、協力した覚えなどないぞ。この小娘に絆されたお前達を見ているのも退屈していたところだ。さっさと酒呑童子と合流して朱夏様を捜さなければな。」
土蜘蛛「……元より、そのつもりだったのだろう。Aの意識を乗っ取るための時間稼ぎか…。」
春火「憐れだのぉ。どうだ?愛しい女に裏切られた気分は?」
女郎蜘蛛「……もう、ほんっとうに最悪!」
烏天狗「…女郎蜘蛛さん、落ち着いて。」
女郎蜘蛛「落ち着いてられないわ!Aを返して頂戴!」
春火「もう遅い。小娘の意識は眠りについたからなぁ。」
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ぐりーん(プロフ) - 各々の覚悟が見て取れて感情移入せずにはいられないです...🥲続編ありがとうございます🙇🏻♀️ (2023年2月4日 17時) (レス) @page26 id: ebeccca8db (このIDを非表示/違反報告)
ももこ(プロフ) - 続きが、出てくれて嬉しいです! (2022年12月22日 8時) (レス) @page18 id: 4b14f6b623 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:暁兔 | 作者ホームページ:
作成日時:2022年12月19日 14時