949話:新たな鬼 ページ35
カルマが血薬を飲んだ。体の変化は見て取れるが、女郎蜘蛛達のように狂っていない。
カルマ「これが鬼…。」
貴方「え……カルマ…?」
土蜘蛛と大ガマはそれぞれ赤と青の髪が特徴の鬼になり、それは恐らく酒呑童子の影響を強く受けているからだろう。
他のみんなや私は、血薬を飲めば忽ち髪が白くなり、目が黄金に変わる。なのに、カルマは……。
カルマ「……髪が、真っ黒になった…。」
目も髪も黒い。狂ってもいないようだし、もしかして失敗したの……?
貴方「どうして…。」
女郎蜘蛛「……へぇ。やもちゃん、やってくれたわね。」
貴方「え……?」
女郎蜘蛛「アタシがいない間、アンタの生体検査をお願いしていたのよ。そして、アンタの血を血薬に一定量混ぜるように言った。その結果がこれね。」
貴方「私の血を…?」
女郎蜘蛛「酒呑童子が自身の血で鬼を増やすなら、アンタにもそれができるのでは無いか…。確証はなかったけれど試す価値はあると思ってね。カルマの気配はアンタと酷似しているし、完璧な鬼よ。…さぁ、さっさとその力で鬼達を蹴散らしましょう。」
カルマ「……Aさん。キミの力を必ず役立ててみせるよ。」
カルマはそういうと、先陣を切って鬼に向かっていった。私はただその光景を結界の中から見ていた。みんなが戦っているのに、足が動かない。
今更怖気付いたの?早く私も戦わないと…。
苦戦しているのは目に見えている。
お願い、私も何か…。みんなの役に立てることをしたい。
フッと意識が遠のく気がした。目の前が暗くなる。足元から崩れ落ちるような感覚と、大ガマや女郎蜘蛛が私を呼びながら焦っているのが最後に見えた。
深いところに引きずり込まれるような
そんな感じの意識の中で
私は誰かに呼ばれている気がした。
この声、聞いたことがある…。
?「A、Aよ。起きよ。」
貴方「!……春火…?」
春火「大事無いか。」
貴方「え……?」
春火「覚えていないのか。鬼の攻撃を足元に食らったのだぞ。…今、仲間はまだ鬼と交戦中。早く起きなければ負けてしまうぞ。」
貴方「そうだった…!春火、力を貸して。私を操ってもいい。アナタの力が必要なの。」
春火「……それは良いが、お前が我を操るのだぞ。」
貴方「え……?」
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ぐりーん(プロフ) - 各々の覚悟が見て取れて感情移入せずにはいられないです...🥲続編ありがとうございます🙇🏻♀️ (2023年2月4日 17時) (レス) @page26 id: ebeccca8db (このIDを非表示/違反報告)
ももこ(プロフ) - 続きが、出てくれて嬉しいです! (2022年12月22日 8時) (レス) @page18 id: 4b14f6b623 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:暁兔 | 作者ホームページ:
作成日時:2022年12月19日 14時