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947話:帰れない ページ33

手先が冷えて、思考が停止して、
女郎蜘蛛が血を吸う音しか耳に入ってこない。

遠くから、私たちの名前を呼ぶ声が聞こえる。
鬼の気配が近付いてくる。この気配、土蜘蛛達だ。


貴方「んっ……。」

女郎蜘蛛「動かないで…。首、掻き切っちゃうわよ。」

貴方「……。」

女郎蜘蛛「アンタ……本当にバカね。そんなアンタに惚れたアタシの方がもっとバカだけれど…。」


女郎蜘蛛の熱い手が、私の身体を抱き込める。
みんなの声が近い。女郎蜘蛛が私の服を直しながら、そっと抱き上げてくる。


貴方「……みんな、来てるのに…どこに行くの…。」

女郎蜘蛛「どこにも行かないわよ。……アタシが向こう側に歩いた方が、土蜘蛛ちゃん達と早く合流できるし…。それに、ここには嫌な匂いが立ち込めているから…一刻も早く離れたいわ。」

貴方「もう、大丈夫…?」

女郎蜘蛛「ええ…。それより、ごめんなさいね。血を飲みすぎたわ。……アンタにアタシの血をあげられないから…。もう少し耐えて頂戴。」

貴方「私なら平気……。」

大ガマ「おい!A、女郎蜘蛛!」

女郎蜘蛛「あら、早いお迎えだこと。」

カルラ「冗談言ってる場合か…!皆それどころじゃないんだ。ここからさっさと退散するぞ。」

女郎蜘蛛「分かってるわよ。Aのこともこんなにしちゃったしね…。」


女郎蜘蛛が私をカルマに引き渡す。歩けると主張したけど、カルマはそれを許さなかった。みんな、鬼の姿になっている。女郎蜘蛛もまだ姿は戻っていない。

辛そうな顔……。鬼化していないカルマも、深刻な顔をしている。鬼になったら、みんなから笑顔が消えていく…。


カルマ「Aさん、眠っていてもいいよ。」

貴方「大丈夫…。ごめんなさいカルマ…手間かけさせて。」

カルマ「良いんだよ、そんなの。カルラ、出口は?」

カルラ「今探してる……。けど、おかしいよこの空間…。出口が見当たらない…。」

キュウビ「何か、結界のようなもので阻害されている。もしかして、酒呑童子か…?」


もしそうなら、この状況で戦うしかないけれど
勝ち目があまりにもない。みんな、吸血衝動で戦いどころではないだろう。平気なフリをしているけれど、立っているのもやっとのはずだ。


土蜘蛛「……酒呑童子の気配がしない。この空間を解除する方法は他にあるのではないか。」

大ガマ「他にって…。そんなの知る由もねぇだろ。」


どうしよう…。ここまで来てお手上げなの……?

948話:カルマの鬼化→←946話:不思議な血



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ぐりーん(プロフ) - 各々の覚悟が見て取れて感情移入せずにはいられないです...🥲続編ありがとうございます🙇🏻‍♀️ (2023年2月4日 17時) (レス) @page26 id: ebeccca8db (このIDを非表示/違反報告)
ももこ(プロフ) - 続きが、出てくれて嬉しいです! (2022年12月22日 8時) (レス) @page18 id: 4b14f6b623 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:暁兔 | 作者ホームページ:   
作成日時:2022年12月19日 14時

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