946話:不思議な血 ページ32
貴方「女郎蜘蛛、一度しか言わないからよく聞いて。」
女郎蜘蛛は表情1つ変えない。ただ、目から涙が落ちていく。
貴方「私のものになって。……私達には、アナタが必要なの。酒呑童子の言いなりになる必要なんてない。アナタが誰よりも強いのはわかっているけれど、これからは私が守るから。」
女郎蜘蛛「A……。」
貴方「それでも、女郎蜘蛛が不安に思うなら…。ずっと、私の傍から離れないで。……それ、貸して。」
女郎蜘蛛「あっ……!」
女郎蜘蛛から血の入った瓶を奪う。
こんなもので、私達の人生が左右されるなんて認めたくない。私達はもっと自由でいていいはずだ。
鬼の国なんて無くても、私たちは妖魔界で他愛のない話をしているだけで幸せだった。フユニャン達と、共に遊んだあの日に戻れるなら、なんだってする。
こんなもの、この世から消してやる。
私は持っていた瓶を地面に叩きつけ、粉々にした。
赤い血が地面に染み込んでいく。女郎蜘蛛は驚いた顔でそれを見ていた。
貴方「私は酒呑童子の支配下に下らない。アナタも、酒呑童子には渡さない。私のものになりなさい。私の、血を飲んで。」
酒呑童子の血の匂いが辺りに立ちこめる。その匂いのせいか、私と女郎蜘蛛の身体は次第に鬼へと変化していく。喉が渇いて熱く燃えるような感覚。酒呑童子の血には、何か特殊な作用があるのか。
女郎蜘蛛「ぐ……ぅ…う…………。」
貴方「…女郎蜘蛛……っ…。」
瓶の破片を拾い上げ、私は首を切った。
生暖かい血が首筋を流れる。それを食い入るように女郎蜘蛛は見ていた。目を血走らせ、理性を抑えつけながら。
貴方「いいよ、女郎蜘蛛。……飲んで。私もアナタも、酒呑童子の血を飲んでしまったけれど、春火の血なら……。私達なら、乗り越えれる。」
女郎蜘蛛「A……。」
貴方「うっ……。」
女郎蜘蛛が私の名前をひとつ呟くと、そのまま首に縋りついてきた。吸ったり、噛まれたり、舐められたりする感覚と、血の匂いが混ざりあって、何も考えられなくなる。
次第に身体の力が抜け、崩れ落ちる私を
女郎蜘蛛が支えてくれた。
いつもの倍、いや今までにないくらい
沢山血を吸われている。
貴方「……女郎蜘蛛…。」
女郎蜘蛛「……止まらない…。アンタの血、不思議ね…。もっと、欲しくなる……。」
手先が冷たくなってくる。
このままだと、私_____。
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ぐりーん(プロフ) - 各々の覚悟が見て取れて感情移入せずにはいられないです...🥲続編ありがとうございます🙇🏻♀️ (2023年2月4日 17時) (レス) @page26 id: ebeccca8db (このIDを非表示/違反報告)
ももこ(プロフ) - 続きが、出てくれて嬉しいです! (2022年12月22日 8時) (レス) @page18 id: 4b14f6b623 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:暁兔 | 作者ホームページ:
作成日時:2022年12月19日 14時