９１９話：深淵 ページ4
土蜘蛛「吾輩含め、ここに居るものはそれなりに大人だからな…。無闇に手出しできないのも事実…。ただ、誰もがそういう訳でもないのも事実だ。それぞれに愛のカタチがあるのだろう。」
貴方「…」
土蜘蛛「A。お主は先程、皆の行為を求めてしまうと言ったな…。それは、本来なら誰もが持ちうる感情だと吾輩は思う。」
貴方「え…？」
土蜘蛛「吾輩も、お主に名を呼ばれ、触れられて、抱き締めて…。口付けを交わしたいなどと、恥ずかしいが思うことがある。」
貴方「つ、土蜘蛛…。」
土蜘蛛の手が、首筋から頬まで移動する。
いつも冷静で、顔色一つ変えないのに
どうしてそんな顔で恥ずかしいこと言えるの…。
土蜘蛛「本当は、今ここで…カルマにされたこと以上に…。お主を貪りたいと思っておるのだがな。」
貴方「！？」
土蜘蛛「なに、そんなに驚かなくても良い。そのような事、お主の意思無しにはやらぬ。安心せい。」
貴方「冗談きつい…。」
土蜘蛛「さあ、冗談で終わらせるつもりはないがな。」
土蜘蛛がクスッと笑う。それこそ、冗談だよね…？
貴方「土蜘蛛が良いなら…私は触れて欲しいよ…。」
土蜘蛛「カルマに色々とされたのだろう…？怖くないのか。」
貴方「あの時は怖かった…。怖かったけど、カルマにだって何か事情があったかもしれない…。そう思ったら責めきれないよ。」
土蜘蛛「お主は優しすぎる。」
土蜘蛛はそう言うと、私の首筋に顔を埋めた。
吐息がかかって、羞恥で顔が熱くなる。
貴方「んっ……！」
カルマに印をつけられたところを
舐められている…のだろうか。
舌の感覚がやけにリアルで、何も考えられなくなる。
声を抑えたくて、口元に手を当てるが
端々から吐息が漏れてしまって抑えきれない。
土蜘蛛「はぁ……すまぬ。他の男の付けた印を見ると、どうも…。お主のその女の顔を…彼奴も見ていたのか…。妬けるな。」
貴方「土蜘蛛…。」
土蜘蛛「……A。接吻をしても良いか。」
貴方「え…？」
土蜘蛛「お主が誰を好きであろうと、吾輩がお主を好きな事に変わりない…。今のお主を、吾輩に与えてくれないか…。」
土蜘蛛の顔は真剣そのもので、決して冗談なんてものは存在しなかった。これが土蜘蛛の本心。合わされた目が、私を捕らえて放さない。
貴方「……カルマを忘れるくらい…土蜘蛛で満たして…。」
土蜘蛛「ああ…。」
土蜘蛛の口付けは、優しくて甘くて、身体の力が全て無くなるほど深かった。
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ぐりーん(プロフ) - 各々の覚悟が見て取れて感情移入せずにはいられないです...🥲続編ありがとうございます🙇🏻♀️ (2023年2月4日 17時) (
レス) @page26 id: ebeccca8db (このIDを非表示/違反報告)
ももこ(プロフ) - 続きが、出てくれて嬉しいです！ (2022年12月22日 8時) (レス) @page18 id: 4b14f6b623 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：暁兔 | 作者ホームページ：
作成日時：2022年12月19日 14時
