943話:後悔 ページ29
ー烏天狗 sideー
毒草の沼。入るのを躊躇っていると、Aがそこへ自ら入っていった。自分のことよりも、そんなに女郎蜘蛛が心配なんだね。…ああ、でもいつになったら僕達の気持ちをわかってくれるのかな。
キミが女郎蜘蛛を心配するように、僕達もキミが心配で失いたくないのに。
土蜘蛛さんとカルマが毒草の沼へと進もうとすると、Aは結界をかけてしまった。みんな驚いている。いつの間にこんな力を…?これも、酒呑童子の血の影響?
それより、こんな広範囲の結界術を使えば、もし女郎蜘蛛と戦うことになった時に不利だ。大ガマさんと土蜘蛛さんが、結界を壊そうとしたがビクともしない。
土蜘蛛「……A…。」
大ガマ「オレたちの知らないアイツの姿が、最近心做しか怖ぇよ。……オレたちを置いてどこかへ行ってしまうんじゃねぇかって…。そればかり考えちまう。」
大ガマさんも、多分ここにいるみんなも同じことを思っている。結界の中で小さくなっていくAの背中を見ている事しか出来ない。
なんのためにここに来た?僕は、キミを失うのをあの時みたいにただ見ているだけ?キミが僕の代わりに鬼になったあの時の後悔を、繰り返してしまうの?
烏天狗「……そんなこと…もう二度とごめんだ。」
カルラ「烏天狗…?」
烏天狗「……カルラ、キュウビさん、大ガマさん…。僕に協力して。」
大ガマ「……何か考えがあるのか。」
烏天狗「この結界を破壊します。」
土蜘蛛「……できるのか。Aのこの結界術は相当強力だぞ。」
烏天狗「やらなければ、Aを失いかねません。」
強化ガラスと同じ仕組みの結界術。いくつか攻略する方法はある。僕達の力が、Aの力に及ぶか分からないけれど。
烏天狗「僕は、Aを守る。僕が鬼になったのは、全て彼女のためだ。」
カルラ「烏天狗…。」
彼女は誰かのためなら命さえ捨てた。それができるヒトだったからこそ、きっと彼女は今日まで沢山の妖怪を救ってきたんだ。ここにいるみんなは、彼女がいたからこそ集まった精鋭。その精鋭がいるのに、彼女をこのまま放置することはできない。
彼女を守るためなら、僕も命なんて惜しくない。
Aが居なくなった後の世界で数百年生きた。その時の虚しさや悲しみを、1日だって忘れたことは無い。
彼女のいない未来に意味なんてないんだ。
烏天狗「もう、目の前で君がいなくなるのは見たくない…。」
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ぐりーん(プロフ) - 各々の覚悟が見て取れて感情移入せずにはいられないです...🥲続編ありがとうございます🙇🏻♀️ (2023年2月4日 17時) (レス) @page26 id: ebeccca8db (このIDを非表示/違反報告)
ももこ(プロフ) - 続きが、出てくれて嬉しいです! (2022年12月22日 8時) (レス) @page18 id: 4b14f6b623 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:暁兔 | 作者ホームページ:
作成日時:2022年12月19日 14時