938話:支配下 ページ24
貴方「私の血の…おかげ……?」
キュウビ「酒呑童子の血を飲めば、酒呑童子の支配下になる。そういう構造で鬼が増えるのなら、キミの血を飲めばキミの支配下になるのも必然だと思わない?」
貴方「あ…。」
キュウビ「そして、酒呑童子の捜す姫とやらはキミじゃないのに、執拗に追い回す。女郎蜘蛛を使ってまで…ね。キミという血を持つ存在がいると、酒呑童子に対抗する存在を増やすことになる。彼はそれを恐れているんだろう。キミを支配下に置くなら、自身の血を飲ませることが有効だろう。女郎蜘蛛にそうさせたように。」
貴方「うん…。」
キュウビ「ただ、それは失敗した。…いいや、彼はきっと失敗することが分かっていた。」
貴方「え…?」
キュウビ「女郎蜘蛛を完全に支配下に置くために…、回りくどい手を使った。女郎蜘蛛は何年経ったとしても、酒呑童子の完全な下僕にはなれなかった。それは、キミがいたからだよ。」
女郎蜘蛛と過ごした時間は、無駄じゃない。
私と彼の中には、強く結ばれた絆ができていた。
酒呑童子は、私が支配下になるか
それとも女郎蜘蛛が庇うか賭けに出た。
本来の目的は、女郎蜘蛛を支配下に置くこと。
今その目的は達成されてしまったわけだ。
キュウビ「女郎蜘蛛を支配下に置きたかったのともう1つ。酒呑童子は春火に勝てないと分かっているはずだ。」
貴方「え…?春火に…?」
キュウビ「覚醒していないとはいえ、文献に名が載るほどの鬼…つまり、恐らく鬼の姫と何か関係があったはずだ。そんな存在に手出しをすれば、鬼の姫を見つけたところで、鬼の国の再興は望めない。……そこで僕の仮説なんだけれどね、酒呑童子の真の目的は僕達と争うことではないと思うんだ。酒呑童子の血は恐らく、彼より強い者…上の者に効果はない。」
貴方「……」
キュウビ「キミが人間時代に血を飲んで鬼になったのは、酒呑童子にとっても想定外だっただろう。ただ、そのキミが妖怪になった時に、春火の魂がキミに宿り、鬼の力は発揮され始めた。もし、キミが単なる妖怪なら、今頃酒呑童子の子分になっていただろう。」
貴方「確かに…。初めに鬼に飲まされたものが、血薬じゃないのは時代を辿ってわかった。女郎蜘蛛にもそれとなく、アレは酒呑童子の血なんじゃないかとも言われていたの。…女郎蜘蛛は、全部知っていたんだね……。」
キュウビ「……ああ。」
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ぐりーん(プロフ) - 各々の覚悟が見て取れて感情移入せずにはいられないです...🥲続編ありがとうございます🙇🏻♀️ (2023年2月4日 17時) (レス) @page26 id: ebeccca8db (このIDを非表示/違反報告)
ももこ(プロフ) - 続きが、出てくれて嬉しいです! (2022年12月22日 8時) (レス) @page18 id: 4b14f6b623 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:暁兔 | 作者ホームページ:
作成日時:2022年12月19日 14時