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935話:決意 ページ21

貴方「……」


寒さで目が覚めた。凍るような冷たい空気。
重い瞼をあけて、身体を起こすと
窓の外には銀世界が広がっていた。


貴方「……冬?」


目覚める前の記憶が無い。
私、何をしていたんだっけ?

背中に手を回しても痛みがない。
傷が治ったということは、あれから少なくとも3週間以上が経過したということになる。


貴方「誰か……。捜しに…。」


足に力を込めて立とうとするが、ベッドから落ちた。
立てない。足が冷えているせいか、それとも寝たきりで筋力が落ちたからか。

すると、部屋の戸が音を立てる。
呆然とそちらを見ていると、入ってきた妖怪と目が合った。


カルマ「Aさん!?」

貴方「か…るま…。」

カルマ「起きたんだね…!良かった。床に座り込んでちゃ風邪引くよ!どうしたの…!」

貴方「あ、足に力が入らなくて…。ごめんなさい。」

カルマ「とにかくベッドまで運ぶね。じっとしてて。」


カルマは私を抱き上げると、ベッドへ優しく降ろした。
そして、傍にあった椅子に座ると
私の体調を聞き出しては記録した。


貴方「私…鬼化したあと眠って…。38日もこのままだった…ってこと?」

カルマ「そう。本当に心配した…。Aさんが眠ったあと、色々あったんだよ。」

貴方「色々…?」

カルマ「うん…。多分、そのうち大ガマさん達が話してくれると思うよ。…僕ね、Aさんが眠った日に、烏天狗と大やもりさんから、鬼のことを聞いたんだ。」

貴方「そう…。」

カルマ「僕は私情でこの戦いに参加して…。鬼のことなんて何もわからなくて。説明を聞いたって、多分全然理解できてない。だけど…だけどね。僕、それでもAさんや、僕の世界の友達を守りたい。……だから、Aさんが起きるのを待ってたんだよ。」

貴方「え…?」

カルマ「僕も、鬼になる。Aさん、そのために協力して欲しい。僕が狂ったら、血を…分けて欲しい。」

貴方「カルマ……なんで…?そんな事しなくたってアナタは強い…!他の方法があるかもしれないし、妖怪に戻れる保証なんてないんだよ!?そんな危険な真似しないで…!」

カルマ「もう決めたんだ。……ごめん。」

貴方「……なん…で…。」

カルマ「Aさん…?」

貴方「何でいつも……こうなるの…。私が強ければ…、春火の力があれば…誰も鬼にならなくて済むのに…!」


私は無力だ。私は、何も出来ない悪魔だ。
ねぇ、春火。お願いだよ。
みんなを助けるために、力を貸して…!

936話:助ける→←934話:覚悟と本音



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ぐりーん(プロフ) - 各々の覚悟が見て取れて感情移入せずにはいられないです...🥲続編ありがとうございます🙇🏻‍♀️ (2023年2月4日 17時) (レス) @page26 id: ebeccca8db (このIDを非表示/違反報告)
ももこ(プロフ) - 続きが、出てくれて嬉しいです! (2022年12月22日 8時) (レス) @page18 id: 4b14f6b623 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:暁兔 | 作者ホームページ:   
作成日時:2022年12月19日 14時

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