934話:覚悟と本音 ページ20
ー烏天狗sideー
カルマ「……どうしようもない状況だね。それで、僕達はこの数じゃ勝ち目がないのは目に見えている。…どうするの。義勇兵でも集めない限り、きっと僕達は負けるのを待つだけだ。」
烏天狗「義勇兵はダメだ。鬼については機密事項。この状況を話すと、妖魔界中で混乱や暴動が起きかねない。それに、鬼にならないと勝ち目がない上に、鬼になれば転生できなくなる。そんなリスクを背負ってまで、戦いたいっていう物好きはいないよ。」
カルマ「この前、僕達がここへ来る道で戦った鬼は…。あの鬼は弱かったの…?敵は、もっと恐るべき脅威なの…?」
烏天狗「あの時は比較的弱かった…。鬼の頭領はあんなものじゃない…。それに、薄々思っているんだけれど、僕たちが相手にするのは……きっと、あの鬼じゃない…。」
カルマ「あの鬼…?」
烏天狗「酒呑童子のことだ。最も、キミは会ったことないだろうけれど…。彼が本当の敵で、倒すべき相手なら…何とか作戦を立てればこの時代で倒せそうだと思うんだけど…。エンマ大王様がそうしないってことは、何か訳があるのかな。」
カルマ「…ねぇ、烏天狗。もっと詳しく聞かせて。鬼のこと。」
烏天狗「…僕は見たものしか知らないから。大やもりさんとか、土蜘蛛さんに聞いた方がいいよ。Aも気絶したままだし、僕も少し休みたい。今は部屋に戻ろうか。」
カルマ「あ…、うん…。」
カルマが鬼を憎んでいるのは、会った時から分かっていた。カルラに向ける視線が痛々しくて、悲しげで、それでいてどことなく…皮肉にも、憎むべき鬼のカルラを救おうとしていることも分かった。
何かを失ったヒトの覚悟は凄まじい。
カルマは、自分の存続が危ういから僕達に協力すると申し出たのだろうと思っていたのに。
話の端々に見える、転生界での仲間への想いが
今の彼を動かしているようだ。
鬼の話は、正直カルマにはしたくない。
この戦いに、もう誰も巻き込みたくないのが本音だ。
ただ、1人でも戦力がある方がいいのも事実だ。
烏天狗「……ねぇ、カルマ。」
カルマ「ん…?」
烏天狗「キミは鬼にならないで…。」
カルマ「え…?」
烏天狗「……これ以上、誰も苦しんで欲しくない。Aもきっと、キミが鬼になれば悲しむ。覚悟を決めてだなんて、偉そうなことを言ったけれど…。本当はもう、僕は誰かが鬼になって、血に狂う姿なんて見たくないんだ…。」
カルマ「烏天狗…。」
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ぐりーん(プロフ) - 各々の覚悟が見て取れて感情移入せずにはいられないです...🥲続編ありがとうございます🙇🏻♀️ (2023年2月4日 17時) (レス) @page26 id: ebeccca8db (このIDを非表示/違反報告)
ももこ(プロフ) - 続きが、出てくれて嬉しいです! (2022年12月22日 8時) (レス) @page18 id: 4b14f6b623 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:暁兔 | 作者ホームページ:
作成日時:2022年12月19日 14時