検索窓
今日:8 hit、昨日:10 hit、合計:6,869 hit

917話:触れる ページ2

貴方「今夜……か。」


月が登り始めてる。そろそろ、土蜘蛛の部屋に行った方がいい頃合だろう。
いつもなら、会いたいと思うのに
今日は何だか、行きたくないな…。

土蜘蛛が無理矢理約束を取り付けるなんて、初めての事だ。土蜘蛛もあんな顔、するんだな…。



大ガマ『信用してくれてんのは有難いけど、抜け駆けする奴もいるし…。気が気じゃねぇんだよ、土蜘蛛も。』



多分大ガマは、あの後に……オレもって言おうとしたのを、やめてしまったんだ。すごく、苦虫を噛み潰したよう表情をしていた。

あの場にいた烏天狗とカルラも、暗い顔をしていた。
カルマは、私を愛していると言っていたけれど
それはカルラの記憶があるから…?

だとしたら、カルラも……同じように…。
あの出来事を思い出して身震いする。
忘れようと思っても、反芻してしまう。


貴方「……とりあえず、土蜘蛛の部屋に行こう…。」




土蜘蛛達の部屋は、私の部屋から少し離れている。
何かあった時に守れるよう、
私とエンマさんを中心に、囲うような設計になっていて、
土蜘蛛の部屋は1番外側にある。

土蜘蛛の部屋の前まで来て、今更怖気付いているなんて…。
土蜘蛛も気配でわかってるはずなのに、出てきてくれないなんて……意地悪ね。


貴方「つ、土蜘蛛…。入るよ。」


声をかけても返事はない。その代わり、ドアノブを捻るとキィ…と音を立てて開いた。
部屋の中は暗い。廊下からの明かりで、
ドアノブに蜘蛛の糸が一本かかっているのが見えた。

土蜘蛛がドアを引いてる…。入れってことなんだよね。


貴方「……つ、土蜘蛛…?居るんでしょ…?」


部屋に足を踏み入れると、奥の方のベッドで
座る土蜘蛛の姿があった。

暗闇でもわかる黄金色の瞳が
私をじっと見ていた。


土蜘蛛「待ち侘びたぞ。」

貴方「う、うん……。何か用事だった…?」

土蜘蛛「……A、こちらへ。」

貴方「はい……。」


土蜘蛛の前に立つと、土蜘蛛は私をゆっくり見上げた。
あ……この目線、珍しいかも。いつも上から見られることばかりだから…。


土蜘蛛「……触れても…良いか。」

貴方「え…?」

土蜘蛛「お主に、触れたい。」


土蜘蛛が手を伸ばす。私がまだ何も言わないからか、
その手は私の目の前で止められている。
節の太い、大人の男の人の手だ。


貴方「どう…ぞ……?」

土蜘蛛「……拒んでも良いのだぞ。」

貴方「…?」


真意がわからず肯定すると、
土蜘蛛から思わぬ言葉が出てきた。

918話:嫉妬心→←916話:呼び出し



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (12 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
105人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ぐりーん(プロフ) - 各々の覚悟が見て取れて感情移入せずにはいられないです...🥲続編ありがとうございます🙇🏻‍♀️ (2023年2月4日 17時) (レス) @page26 id: ebeccca8db (このIDを非表示/違反報告)
ももこ(プロフ) - 続きが、出てくれて嬉しいです! (2022年12月22日 8時) (レス) @page18 id: 4b14f6b623 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:暁兔 | 作者ホームページ:   
作成日時:2022年12月19日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。