９５８話：話し相手 ページ44
女郎蜘蛛「真っ赤になって俯いて…誘ってるの？」
貴方「ち、違うっ…。」
大やもり「女郎蜘蛛、あまり揶揄ってはいけないよ。」
女郎蜘蛛「あら、大人ぶっちゃって。」
キュウビ「女郎蜘蛛が大人気ないんだよ。」
大やもり「はい、手当終了。この痛み止めと、抗生物質を持って行って。1週間分、とりあえず渡しておくね。」
貴方「あ、ありがとう…。」
大やもり「うん、お大事に。女郎蜘蛛のことは、僕達がしっかり躾ておくから、気にせずゆっくり休んでね。」
大やもりの手が頭に添えられる。髪を撫でられると、また心臓が高鳴った気がした。ダメだ、最近…ううん前から変になっている。
研究室を出て、廊下を走る。振動で舌が痛むし、心做しか胸も痛む。まだ、薬効いてくれてないのね。
長い廊下はいくら進んでも、自室へはまだつかない。
早く休みたいのに。足が重くて…身体もダルくて。
頭の中でみんなの事や、さっきの女郎蜘蛛の言葉が繰り返し思い出される。
貴方「……私は、誰も…。」
好きになりたくない…。好きになってはいけない。
脳がガンガンと警鐘を鳴らす。
さっき薬を飲んだのに、頭痛が止まらないや。
グッと身体を縮こめて、膝を床につける。
額から汗が流れる。誰か………。
？「……大丈夫か。」
貴方「…！…お、ろち…？」
オロチ「顔色が悪い。熱…ではなさそうだが。」
貴方「ごめん、少し考え事をしていて…。」
オロチ「そうか。」
オロチは私の手を引いて立たせた後、何も言わずに歩き出した。
貴方「あ、えっと…。」
オロチ「なんだ。」
貴方「…オロチと、あまりこうして話したことないなって…。」
オロチ「落ち着かないか？」
貴方「ううん。逆に凄く落ち着く。不思議…。」
オロチ「そうか。」
寡黙で、特に話すこともないけれど、繋がれた手が優しい。土蜘蛛の傍によく居るのを目にするけれど、確か元祖軍の副将…だったっけ。
何も話せないまま、オロチは私を部屋へと誘導した。
オロチ「何か必要なものがあれば式神を飛ばせ。できれば眠った方が良いだろう。考え事もし過ぎると逆効果の時もある。」
貴方「そうだね、ありがとう。」
オロチ「ああ、ゆっくり休め。」
貴方「あ、あの…！」
オロチ「ん…？」
貴方「私…その、オロチの事知りたくて…。話し相手になってくれると…嬉しいというか。」
何言ってるんだと思われてしまうかも。でも、こんなに長く一緒にいて、何も知らないなんて少し寂しい。
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ぐりーん(プロフ) - 各々の覚悟が見て取れて感情移入せずにはいられないです...🥲続編ありがとうございます🙇🏻♀️ (2023年2月4日 17時) (
レス) @page26 id: ebeccca8db (このIDを非表示/違反報告)
ももこ(プロフ) - 続きが、出てくれて嬉しいです！ (2022年12月22日 8時) (レス) @page18 id: 4b14f6b623 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：暁兔 | 作者ホームページ：
作成日時：2022年12月19日 14時
