80話：認識マジシャン！ ページ36
夕食後。門限まで少し外を散歩しようと思って、アシェルを掴んで寮を出た。
アシェル「ちょっと！本当に乱暴！」
貴方「アンタ！会話に干渉できないんじゃなかったの！？」
アシェル「雨宮太陽くんとのこと？」
貴方「そう！なんか魔術っぽいの使ってたじゃん！そのせいで、雨宮くんが一緒に買い物に行こうなんて言い始めたんじゃないの。」
アシェル「誤解だよー。僕は雨宮くんの脳内に毛玉から、毛玉取りそして買い物の概念を植え付けただけ。」
貴方「確信犯か。」
アシェル「植え付けただけで、買い物に行く提案をしたのは雨宮くん自身だから、それが彼の本心だよ？」
貴方「植え付けの作業をするなと申してるんだよこっちはッ！！」
アシェル「いててててｯｯｯｯ」
アシェルを手のひらでブニブニと平らに潰す。
恋愛なんて以ての外だし、何よりこの毛玉の思惑通りに事を運ぶのが嫌だ。
貴方「はぁ…。アンタ、もしかして恋愛したことないでしょ。」
アシェル「もちろん！僕は魔術師だからね！人間みたいな感情はないから、そんなものは体験したことがないよ！」
貴方「だったらアンタが何をしてきたって、私はときめいたり、誰かを好きになったりなんてしない。ヒトに恋愛させるより、人間の勉強してきなよ。」
アシェル「はっはっは！何言ってるんだか。僕にはまだまだ沢山駒が残ってるんだよ？君をときめかせるくらい朝飯前だよ！」
貴方「ありえな〜い。」
アシェルを置いて歩き出そうとした時、後ろから声をかけられた。
？「おい。」
貴方「ひっひゃい！！！」
アシェル「ひゃい…ぷくくくっ…！いてっ」
笑ってきたアシェルを地面に叩きつけて、声をかけてきた人へと向き直った。
貴方「どうしたの、総介くん。」
総介「散歩ついでにお前見かけたから。それより、随分変なの連れてんだなと思ってな。」
貴方「……えっ…？」
総介くんは、地面にへばりつくアシェルを指さした。もしかして、見えてる？いや、そんなはず…。
アシェル「キミ！僕のことが見えるんだねっ！」
総介「……毛玉だったか。」
アシェル「あ・しぇ・る！！本当にこれだから人間ってやつは！！」
貴方「人間に詳しくない奴が人間を侮辱するな。」
総介「貴志部達には見えてなさそうだったけど。何コイツ。」
貴方「せ、説明します…。」
まさか、総介くんが“手伝ってくれる人”だなんて…。
81話：冷酷トランスフィグレーション！→←79話：未曾有コンフュージョン！
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作者名：暁兔 | 作者ホームページ：
作成日時：2022年2月25日 13時
