77話：直通ルーモア！ ページ33
昼からはドリンクを作ってそれぞれのチームへ配り、一度休憩に入る。アシェルは当然、手伝ってくれるわけでもなく、どこかへ行ってしまった。
貴方「私が見てないところで悪さしてないといいけどな…。」
宿舎から少し離れた木陰に腰を下ろす。遠くから選手たちの声や、ボールの跳ねる音がする。
蝉の声も遠くなるほどの暑さ。木陰で風は少し感じるけれど、それでも汗ばむ。
背を倒して寝そべる。目を閉じて、少し息をつく。
アシェルが出てきてから慌ただしくて、ゆっくりしていられなかったから、今のうちに休息を確保しなければ…。
その時だった。足音もしなかったのに、声だけが聞こえた。
？「休憩中？」
貴方「！」
驚いて目を開けて身体を起こすと、そこには喜多くんが立っていた。
貴方「驚いた…。」
喜多「驚かせてすまない。倒れているのかと思って心配になってね。」
貴方「あはは…それはごめん。喜多くんも休憩？」
喜多「ああ。1時間休憩。そういえば、君と再開した時も今の時間だったね。」
貴方「うん、そうだね。」
喜多「隣座っても？」
貴方「もちろん。」
喜多くんが腰をかける。遠目から見ていたら、周囲の選手と比較すると小柄に見えるのに、近くに来ると案外…。男の子だもんね。
喜多「ん…？どうかした？そんなに見られると、照れてしまうな。」
貴方「えっ！？いや、ごめんっ！」
喜多「もしかして、小柄だと思った？」
貴方「逆です…。」
これもあの毛玉の仕業なのか…！？喜多くんも喜多くんで、なんで考えてることわかるの…。
喜多「近くに来ると案外小さくもないっていうのは、よく言われるな。」
貴方「ご、ごめんね…。失礼だったよね。」
喜多「いいや。身長は特に気にしていないんだ。人間、性格が問題だろう？」
貴方「仰る通りですね。」
喜多くんとは同い年なのに、歳上と話しているみたい。安心感があるというか、落ち着いているからかな。貴志部くんと雰囲気似てるかも…。
喜多「そういえば、最近雪村くんと仲が良いみたいだね。」
貴方「…え？ど、どこでその情報を…。」
喜多「ん？ああ。うちの部員が、雨の中手を繋いで歩く君達を見かけてね。それ以来天河原では、君達は恋仲だという噂で持ち切りだよ。あの雪村くんが手を引くなんて考えられないから、どう手懐けたんだろうって。」
貴方「な…なん…っ！！」
見られてた…！？というより、この事を雪村くんに知られると、とてもマズい…！！！
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作者名：暁兔 | 作者ホームページ：
作成日時：2022年2月25日 13時
