48話：驚愕インフォメーション！ ページ4
ー雪村sideー
雪村「……オレ、先に戻るから…。アンタは後から戻って来いよ。」
貴方「えっ、あ……はい…。」
藤咲をキッチンに放置して、オレは廊下へ出た。
そこで会ったのは、木戸川清修の貴志部大河だった。
雪村「盗み聞きか？」
貴志部「いや、そういうつもりじゃ……。」
雪村「……どこから聞いた。」
貴志部「記憶が無い…とか。」
雪村「はぁ……。他の奴には黙っててやってくれ。まだアンタのところの監督と、吹雪先輩以外このグループでは知らないみたいだしな。」
貴志部「Aは大丈夫なのか…？」
雪村「アンタも見てたらわかるだろ。無理して周りに合わせて笑ってるって。弱音なんて吐ける相手もいない。アイツは、どうしようもなく独りなんだよ…。」
貴志部「なら、雪村が傍に居てやれば良いんじゃないか？」
雪村「なんでオレが……。そういうアンタが居てやったら？今だってその為に来たんだろ？」
貴志部「……オレには、どうする事も出来ないよ…。」
貴志部は目を伏せて、
本当に残念だと言う風に溜息をついた。
自分の事じゃないのに、ここまで悩める奴も才能ってか？
少し沈黙が流れた頃、今は聞きたくない声が廊下に響いた。
貴方「あれ？貴志部くん？それに雪村くんも…。」
雪村「……アンタ！まだ来んなよ…。」
貴方「えっ、でももう５分くらい経ったから…。大広間に戻ってると思ってた。こんな所でどうしたの？」
貴志部「えっと…。ちょっと水飲みに来て…。」
貴方「そうだったの？じゃあ今入れるから待ってて。雪村くんもいる？」
雪村「別に…。」
貴方「そっか……それじゃ…。」
藤咲が、貴志部に何か言おうとした時だった。
大広間と反対側の廊下から、バタバタと数人が走ってくるのが見えた。
「Aー！大変だよ！」
アイツは、雷門中の…松風天馬。それに、神童やその他にも数人。オレの知らない奴もいる。
松風が勢いよく寄ってきたかと思うと、
藤咲の肩をグッと掴む。藤咲は驚きすぎて硬直。
そして、オレ達の目の前で衝撃的な発言をした。
松風「Aが…！オレ達の世界の人間じゃないって……！」
貴志部「え…？」
貴志部とオレ、そして…当人も。
顔を見合わせて唖然とするしかなかった。
数秒経った頃だろうか。藤咲がゆっくりと口を開けた。
貴方「そっ…そう。それは…仕方ない…ね……？」
藤咲は、どこか他人事のようにそう呟いた。
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作者名：暁兔 | 作者ホームページ：
作成日時：2022年2月25日 13時
