59話：運命エンカウンター！ ページ15
吹雪「さて、藤咲さんの足が心配だけど、僕もここを離れる訳にはいかないから。申し訳ないけれど、木戸川清修と白恋の方にもドリンクを持って行って貰えるかな？」
貴方「はい！勿論です。」
雛乃「使い終わった容器は僕達で洗っておきます。タオルやユニフォームは、ランドリールームに持っていきますね。雨宮や佐田に操作させると、ランドリールームを壊しかねないので、手伝えるのはそこまでになりますが…。」
貴方「すみません、よろしくお願いします。」
雨宮「酷い！洗濯くらいできますよ！」
佐田「泡だらけにした経験ある奴が、何言ってんだよ。」
騒ぐ雨宮くんを横目に、一礼してその場を去る。
まだ会って2日目だけど、新雲の人たちは気さくで親しみやすい。
他のチームにも早くドリンクを届けなくてはと焦り、
近道をして、調理場へ向かおうとした時だった。
貴方「わっ！？」
少し段になっている箇所に気が付かず、足を引っ掛けてしまった。グラッと体が揺れて、踏ん張った足の怪我が痛む。崩れ落ちそうになる寸前で、誰かに腕を引かれた。
貴方「え…っと……？」
？「ああ、良かった。捜していたんだよ。」
貴方「あの……アナタは…？」
オレンジ色の男の子。何だか、見たことがあるような気がする。ユニフォームを着ているから、選手……だよね？
？「不躾にすまない。」
その男の子は謝罪をしたあと、私の手を引いて立て直した後に、視線を合わせてこう言った。
？「俺は喜多一番。天河原中学サッカー部のキャプテンだ。つい先日、温泉でキミとぶつかったのを覚えているかい？」
貴方「温泉…。あ、あの時の…！」
喜多「キミが落し物をしたから、アレから探していたんだ。マネージャーだったんだね。会えて良かったよ。今は持って来ていないから、今夜部屋へ伺っても良いかな？」
貴方「は、はい。むしろ私がそちらに行きますけど…！」
喜多「あはは。有難いけれど、ウチは煩いのが揃っているから、少し危険だろう。20時に、そちらへ伺うよ。グループ4だね。」
貴方「はい。3階の個室にいます。あ…、名乗り忘れていました。雷門中2年の藤咲Aです…！」
喜多「藤咲さん…。うん、同い年だし、もう少しフランクに話してくれても大丈夫だから。それより、これからどこへ？」
貴方「屋内で練習しているチームに、ドリンクを持って行こうかと。」
喜多「……その足でかい？」
貴方「あ……。」
喜多さんは観察眼の鋭い人、みたい。
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作者名：暁兔 | 作者ホームページ：
作成日時：2022年2月25日 13時
