僕と君の物語【佐野玲於】完結

願ったり叶ったり ページ6

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それに彼女は俺の母親とも折り合いが良かった。

母親に一度紹介しただけなのに、彼女の人柄から何から相当気に入っちゃったみたいで






“ 今度はいつAちゃん連れて来てくれるの？ “

“ 早くAちゃんに会いたいわ “





ってよくLINEが来る。
彼女の方もお母さんお母さんって気に掛けてくれるし、俺からすれば願ったり叶ったりだ。


俺の仕事のことに関しては、出会った時はゼロに等しいくらい興味がなかったっぽい。

でもいつの日かメンバーの全員の名前を覚えるくらいになってくれて(まぁ俺がさせたんだけど)、その中でもやっぱり俺がいいみたいで(まぁこれも俺が仕向けたんだけど)。

休みの日とかの家でのデートは、専ら俺ん家でライブDVDの鑑賞。


ほんとよく飽きねぇなってくらい何度も何度も見てるから







「ここで、玲於くんが煽るの」





とか





「この後玲於くんカメラに手振るよ」






とか、もう俺の動きを俺よりも完璧に覚えてる。

それで毎回







「…ほらね！言った通りでしょ？」






ってドヤ顔してくる。

ま、そんなところも可愛いからいいんだけどね。
むしろどんどん覚えてもらって、もっと俺のこと見てもらえたら尚嬉しいんだけどね。


そんなこんなでこの日も午後休でその予定だったんだけど








〈 ごめんね、風邪引いちゃったみたい。今日玲於くんち行けないや 〉








仕事が終わって、昼すぎに届いたそのLINE。
そういえばこの前からやけにくしゃみしてたわって。

きっと彼女は今日は会わないつもりだろうけど、俺的には心配だし、会いたいし。
彼女が来れないなら、俺が行くしかないっしょ。



とりあえず、コンビニに寄って風邪薬やら熱冷シートやらゼリーやらをカゴに入れる。
それとレトルトのお粥と、スポーツドリンク。

ついでに彼女が大好きなチョコも買ったりして。



あとは…

何がいるか分からないから、一応氷枕なんかも買って彼女の家に直行した。


インターホンを押すと、ルームウェア姿のとろーんとした目の彼女が出てきて








「はぁい…え？玲於くん！？こんなとこで何やってるの！」







結構ガチめなテンションで怒られた。






玲於「何って、お見舞い？」

「だめ、帰って。お見舞いはありがたいけど、風邪移ったら大変でしょ」








その言葉だけを残して、玄関のドアをパタンと外に閉め出された。

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