次の日 ページ44
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玲於「おはようございます」
母「おはよう。朝早くからありがとうね」
次の日気持ちの整理がつかないまま、お義母さんと一緒に病室にある彼女の荷物を片付ける。
もう少し悲しみに浸る時間をくれてもいいのに、病院からしたら他の患者さんにベッドを開けるのが最優先のよう。
でも彼女のように病気に苦しむ人がこのベッドを待っているのなら、それはそれで仕方の無いことだと思う。
母「玲於くんごめんなさい。これまで何回も連絡くれたのに」
玲於「いえ…」
母「本当に悪かったわ…」
空っぽになったベッドを眺めながらポツンと吐き出した言葉からは、罪悪感が痛いほど伝わってくる。
母「私、本当は玲於くんに連絡しようって何度も思ってたの」
玲於「え…じゃあどうして」
あんだけ拒否られてたのに…
母「そうよね、そう思うわよね」
玲於「はい…」
こんなことがしたいわけじゃない。
だけど少しばかり信じられなくて、結果的にお義母さんを責めてしまう。
母「実は、私が玲於くんに連絡しようとする度にAに止められてね。玲於くんに迷惑掛けたくないからって怒られちゃって」
玲於「Aが…」
母「そう。あの子の必死な姿見てたら私、陰で送ることも出来なくて。Aの気持ち優先しちゃった…」
玲於「そんなの、全然知らなかったです…なのに俺…」
母「違うのよ。私があの子に無理させすぎたの」
もうきっとお互いに自分を責めることしか出来ない気がする。
多分これが時効になるのはもっともっと先。
玲於「あの、Aは…Aはこんな俺で、本当に良かったんですかね…」
母「私、玲於くんにAをもらってもらって、本当に良かったと思ってるわ」
安堵に満ちたその優しく、温かい雰囲気。
ふとした瞬間の彼女にそっくりだ。
母「あの子結婚式の時、控え室で泣きながらお父さんと私に言ったの」
“ お父さん、お母さん。私を産んでくれてありがとう ”
“ なに…どうしたのよ、式前から ”
” 私ね、2人の子どもに産まれてこれて、玲於くんと出会えて今こうしてここにいられて、すごくすっごく幸せだよ ”
母「それに私たちは玲於くんのこと、今でも息子だって思ってる。色んな場所で、たくさんの人に希望を与えることが出来る、自慢の息子。お父さんもそう言ってたわ」
俺はもう言葉にも出来ない感情でいっぱいで、ひたすら涙が止まらなかった。
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you(プロフ) - レイさん» レイさんコメントありがとうございます。十分に作品に浸っていただけたら嬉しいです\(^^)/このあともお楽しみください。 (2019年3月28日 22時) (レス) id: 6afcf836b3 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - なんとなく先がわかってしまったような気がして…すでに泣けてきます! (2019年3月28日 18時) (レス) id: ead29fc4e8 (このIDを非表示/違反報告)
saeco10(プロフ) - お返事ありがとうございます(^-^)この歌が好きなので、嬉しいです。引き続き楽しみにしております! (2019年2月28日 22時) (レス) id: f42b071ce0 (このIDを非表示/違反報告)
you(プロフ) - saeco10さん» saeco10さん、コメントありがとうございます。その通りです。オリジナルも入っていますが、基本的にYの歌詞に沿って書かせて頂いています。(ネタバレになってしまうかもですが、、笑)この後もぜひ楽しんでいってください! (2019年2月28日 10時) (レス) id: 6afcf836b3 (このIDを非表示/違反報告)
saeco10(プロフ) - Yをモチーフにされてるのかな?素敵(*´∇`*) (2019年2月27日 23時) (レス) id: f42b071ce0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:you | 作成日時:2019年2月24日 12時