虫の知らせ ページ40
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マネージャー「玲於!!」
数日後のリハの最中。
焦った様子のマネージャーがやって来て、俺のスマホを手渡す。
玲於「何?もうすぐ本番なんだけど」
マネージャー「いいから!」
玲於「何だよ…」
若干イライラしながら渡された俺のスマホを見ると、お義母さんからの度重なる着信。
つい1分前も電話が来ていたことが分かる。
あんなに俺のこと避けてたのに…
何かすげぇ嫌な予感がしてリハを抜け出し、すぐさま掛け直した。
玲於「もしもし佐野です。あの、さっき電話…」
〈 玲於くん!?ごめんなさい…Aが…Aが…!〉
それはあまりにも残酷で、信じられない知らせだった。
嘘だ、そんな訳ない。
さすがに嘘だろ…
だって、あんなに元気だったじゃん。
そんなの何かの間違いに決まってる。
そう思い込もうとするけど、お義母さんのあの様子は到底嘘だとは思えない。
だけど…
どうすることも出来ない俺の足取りは鎖で繋がれているように重かった。
龍友「あー玲於来た来た。何してんねん」
玲於「あ…すみません」
スタッフ「佐野さん戻られたので、リハ再開します!」
でもそんな葛藤とは裏腹に、俺の体は勝手に動いてて
玲於「あの…本当、マジでごめん。俺出ます!!」
隼「はっ?!」
亜嵐「玲於!?」
スタジオから抜けて、長い廊下を走ってた。
マネージャー「玲於待て!」
名前を呼ばれて振り返れば、息を切らしたマネージャーがいて
マネージャー「俺のとこにも連絡入ってる。こっちのことは俺が何とかするから気にすんな。地下駐車場、タクシー呼んである」
玲於「本当…ありがとうございます!」
心からの感謝を伝えて、用意してくれてたタクシーに乗り込む。
玲於「東記念病院まで!急ぎで!」
そう伝えると、タクシーは音を立てて勢いよく走り出した。
タクシーに乗っても尚信じられない気持ちと、でもやっぱりそれが本当ならば一刻も早く病院に着いてほしい気持ちもある。
だからタクシーに揺られている時間はただひたすら祈ってた気がする。
でもどこか、あんなに連絡を取りたくて仕方なかったのに、こんなことなら連絡がつかない方が良かった。
そう思うところもある。
でもそれは逃げているだけで、たとえ俺に連絡がなくても同じように時は進んでく。
今苦しんでる彼女がいるのに、窓の外では笑い合うカップルがいて無性に腹が立った。
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you(プロフ) - レイさん» レイさんコメントありがとうございます。十分に作品に浸っていただけたら嬉しいです\(^^)/このあともお楽しみください。 (2019年3月28日 22時) (レス) id: 6afcf836b3 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - なんとなく先がわかってしまったような気がして…すでに泣けてきます! (2019年3月28日 18時) (レス) id: ead29fc4e8 (このIDを非表示/違反報告)
saeco10(プロフ) - お返事ありがとうございます(^-^)この歌が好きなので、嬉しいです。引き続き楽しみにしております! (2019年2月28日 22時) (レス) id: f42b071ce0 (このIDを非表示/違反報告)
you(プロフ) - saeco10さん» saeco10さん、コメントありがとうございます。その通りです。オリジナルも入っていますが、基本的にYの歌詞に沿って書かせて頂いています。(ネタバレになってしまうかもですが、、笑)この後もぜひ楽しんでいってください! (2019年2月28日 10時) (レス) id: 6afcf836b3 (このIDを非表示/違反報告)
saeco10(プロフ) - Yをモチーフにされてるのかな?素敵(*´∇`*) (2019年2月27日 23時) (レス) id: f42b071ce0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:you | 作成日時:2019年2月24日 12時