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ぬくもり ページ39

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玲於「ただいま…」






家に帰ってそう呟くと






“ おかえり ”






そう元気よくリビングの方から彼女が出迎えてくれる幻覚を、何度見たことだろう。

そして、玄関の段差に腰をかけて靴を脱いでいると






“ 玲於くん、お疲れ様。今日のご飯はね… ”






まだ聞いてもないのに、嬉しそうに教えてくれる。
そんな彼女と共にリビングに行く。





“ 今日のお仕事はどうだった? ”





なんて、あの日以来ちょくちょく仕事のストレスを溜め込まないように聞き手に回るようにしてくれて。

並べられた手料理を食べながら、毎日の出来事を伝え合う。
そして、その料理の味に美味しいと嘆くと





“ よかった ”





屈託のない笑顔を見せてくれる。
それが何よりのストレス解消になった。





でもそれはあくまでも幻覚で、現実に彼女が出迎えてくれることはない。

だから今日も俺は一人でリビングに行き、ソファに座って何も用意されていないテーブルを見つめた。





はぁ…


ため息は少しこだまして空気の中に消えていく。
ため息の行方さえ探してしまう俺は完全に弱ってると思う。




今までは、ふたりで座っても大きすぎたソファ。

いつものくせだろうか。
俺の右側に座る彼女の席をどうも開けて、左寄りに座ってしまう。

だから一人でこのソファに座るとさらに大きくて感じて、とてつもない脱力感に駆られる。






ここは俺と彼女、2人の場所だから。



きっともうすぐここに戻ってきてくれるかも

そんな儚い夢とも言える思いから、一人では使いこなせないこの部屋から立ち去ることは出来ないし、そうする気もさらさらない。


左薬指にある銀色の指輪だって、取ることが出来ないまま冷たくここにある。





どこかに理由があるはず。
でも、何度考えたって分からない。



あんなに好きだったのに。
あんなに愛していたのに。




ただその感情だけが頭の中をぐるぐると駆け回る。

もっとその気持ちを伝えてたらこうはなってなかったのか。
情けないほどに何も出来てない自分が嫌いだ。


結局、寂しさを紛らわせるために見もしないテレビをつけてたところで、何の感情も起こらない。



ただただ今も俺の手の中には、彼女のぬくもりが痛いほど残ってることは確かで。
でもそれが返って俺を寂しくさせて



“ もっと幸せにするから ”

今はその言葉さえ、凍えてしまっていた。




そんな彼女との約束を果たすことのできぬまま、幾月の時は去る。

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you(プロフ) - レイさん» レイさんコメントありがとうございます。十分に作品に浸っていただけたら嬉しいです\(^^)/このあともお楽しみください。 (2019年3月28日 22時) (レス) id: 6afcf836b3 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - なんとなく先がわかってしまったような気がして…すでに泣けてきます! (2019年3月28日 18時) (レス) id: ead29fc4e8 (このIDを非表示/違反報告)
saeco10(プロフ) - お返事ありがとうございます(^-^)この歌が好きなので、嬉しいです。引き続き楽しみにしております! (2019年2月28日 22時) (レス) id: f42b071ce0 (このIDを非表示/違反報告)
you(プロフ) - saeco10さん» saeco10さん、コメントありがとうございます。その通りです。オリジナルも入っていますが、基本的にYの歌詞に沿って書かせて頂いています。(ネタバレになってしまうかもですが、、笑)この後もぜひ楽しんでいってください! (2019年2月28日 10時) (レス) id: 6afcf836b3 (このIDを非表示/違反報告)
saeco10(プロフ) - Yをモチーフにされてるのかな?素敵(*´∇`*) (2019年2月27日 23時) (レス) id: f42b071ce0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:you | 作成日時:2019年2月24日 12時

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