�� 味方 ページ18
医務室の敷居を跨いで顔を上げると、そこには六年は組の食満留三郎、善法寺伊作が座っていた。
「どうぞ、座って」
「し、失礼します……」
伊作の優しい笑顔を見ると緊張の糸が緩んだようにほっとして、私は下座の座布団へと腰を下ろす。
勘右衛門は部屋に入らず、二人に軽く会釈をしてから障子を閉めて出ていった。
よっぽど大事な話でも始まるんだろうか。
「体調は大丈夫？」
「は、はい」
「良かったぁ。僕は、君がここで目覚めたときに横にいた生徒なんだけど――覚えてる？」
覚えてないはずないでしょう同室シリーズ毎年楽しみにしてるよ不運委員長!!!!!!
――なんて、もちろん言えるわけがないので、私は「あぁ、あのときの」と白々しく驚いてみせた。
「あの時は外傷もなかったからなんで気絶したのかが本当にわからなくて――竹谷がひたすら『薬でリスが人間に変化した』と主張するものだから……」
「竹谷、って、私をここまで担いできてくれた方ですか」
八左ヱ門からちゃんと自己紹介されていないのをいいことに、ふいに私はもう一度〈八左ヱ門が私を担いで医務室に……〉という事実を噛みしめたくなった。
「そう。食堂に居たリスを保護してくれたのも、生物委員会委員長代理である竹谷だ」
やっぱり八左ヱ門は本当に私を担いできてくれたんだ……冷静になってみると嬉しさよりもちょっとだけ、恥ずかしい……。
「で、その竹谷の主張を信じる者と、竹谷が幻術にかけられたんだと言う者……主に上級生の中で、意見が二分してしまった」
「幻術――」
静まり返る医務室。
腕を組んだまま黙っていた留三郎が、口を開く。
「簡単に言うと、Aさんが学園内の〈何か〉を狙うどこかの忍びだと思っている人間がいる、ってことだ。学園長先生の暗殺者とか」
不確定だった予測は、大方当たっていたらしい。
やはり私は、どこかの忍びだと思われているようだ。
もちろん学園長先生を暗殺する気なんてさらさら無いし、武器も技術も知識もない。あるとすれば、忍たまを見て得た忍者の知識だけ。
ショックというより――これから私、どうしよう。
今まで画面越しに見てきたゆるやかなギャグの世界だからと、油断きっていたところがある。
突然死んじゃって、推しの居る世界にトリップしたら、自然に推しと仲良くなって……恋なんかして……そんな何度も繰り返し見てきた世界は、当たり前とは限らないんだ。
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よしのや(プロフ) - No.0さん» コメントありがとうございます、頑張ります!!(*´ｪ`*)最近更新頻度が落ちてて申し訳ないです、気長にお待ちいただけると嬉しいです…！m(_ _)m (2019年5月6日 8時) (
レス) id: fe1483e79b (このIDを非表示/違反報告)
No.0 - 始めてのジャンルだ〜！読むのが楽しみです！更新がんばってください！応援してます。 (2019年5月2日 22時) (レス) id: 70509151e8 (このIDを非表示/違反報告)
よしのや(プロフ) - ごままぐろさん» わぁぁありがとうございます、すっごく励みになります!!!!（〃ω〃）ところどころギャグ路線に走ってみましたが、真面目とギャグの温度差が物凄いことになってしまいました……笑 (2019年3月13日 23時) (レス) id: 6e21aa2086 (このIDを非表示/違反報告)
ごままぐろ(プロフ) - 天女ものとは少し違って、面白くて好きです笑 (2019年3月13日 18時) (レス) id: 6c83279883 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしのや | 作成日時：2019年2月23日 17時
