追憶 (6/9更新) ページ34
とあるファミリーが根城にしている島。
その海辺に幼い少年と少女が肩を寄せ合って座っていた。
どちらも実の齢は十かそこら。僅かに少年の方が年上のようにも見えるが、どちらもやけに大人じみた振舞いをするためその辺の子供と一括りにして語ることは出来ない。
帽子を被った少年は、少女の腕に器用に包帯を巻いてやっていた。
「また怪我作ってきやがって…!いい加減飛び降りたりバカな事すんのやめろよ」
『いたいなァもっと優しくしてくれ給えよ!』
「おまえバカだから優しくしてやらねェ」
『この私を捕まえて「馬鹿」だなんて非道い暴言。サイテーだよ君』
「本当に賢いやつはジサツなんかしねェ。治療してやってるだけありがたいと思えよ」
少年の言葉に少女はつまらなそうに顔を背けた。
そんな彼女の手を取って、少年は問いかける。
「…なんでそんなに死にたいんだよ」
『ええ、理解らないかな。生きていたって退屈なんだもの』
頭に疑問符を浮かべた少年とは裏腹に、少女は目を瞑って空を仰いだ。
『阿と言えば吽。物から手を離せば落っこちて、海は青くて空も青い。総て一辺倒で分かりきった世界に一体何の意味が有る?』
幼い少女が吐くとは思えない、世界を達観した言葉だ。
少年は意を決したように立ち上がって、彼女の手を掴み叫んだ。
「だからって死のうとするなよ!
海は広いんだ、おれもAもまだ知らない事くらいあるに決まってるだろ。
全部わかってもつまらないって言うなら、その時おれも一緒に死んでやるから、それまで死ぬなよ!!」
少女は呆気に取られて口をぽかんと開けていたが、時間と共にじわじわとその口角をあげた。
『あはは!随分熱烈な言葉じゃあないか。ひょっとして君、私の事好きなの?』
「ッな、す、すきとかそういうこと言ってんじゃねェだろ!?」
『あーあ、何時からこんなマセガキになってしまったのかな。ドフィおじ様の教育の賜物かしら』
少年のちょっぴり背伸びした言葉は、未だ少女には届かない。
そのうちに少女は少年の肩越しに見慣れたシルエットを見つけ、慌てて手を振って駆け出した。
『!コラさんだ!!コラさーん久し振り!』
「っおい待てって!」
『はいはいまたねトラファルガーくん。コラさん!あのね…━━━━━━』
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「…そんなにアイツがいいかよ」
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まどろみマフィア(プロフ) - ぽ、ぽぽぽぽぽポートマフィア?!なんですと?!ギュフフィンフィン(ポトマが出てきて歓喜中の中也推し) (1月25日 0時) (レス) @page37 id: 2cd01fe314 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:翠 | 作成日時:2022年11月7日 10時