参拾壱話 ページ32
「へへッ、こりゃまた大きく出たなァ」
なんせこの船の船長は海賊王になると宣う男だ。
どれだけ世間に夢は所詮夢だと嘲られようとも、この一味には仲間の夢を笑う人間は居ない。
「んん?よくわかんねーけどおめェ、暇だから死にたかったのか?」
Aは問いには答えずただ頷いた。
それでルフィは得心したかのように晴れ渡るような笑顔になる。
「よし!おまえが知りたいことが全部わかって、それでもつまんねェならおれも一緒にしんでやる!」
『…え。ほ、ほんとに?本当に死んで呉れる??』
「ルフィ!?」
一転してAはルフィにずいっと興奮気味に詰め寄った。
ナミやウソップなんかは確かに苦笑いしていたものの誰も止めはしなかった。
一味の誰も知る由はないが、Aが誰よりも深い情をかけてやっている彼が吐いたのと奇しくも同じ台詞。
彼女が何よりも欲してやまない言葉を、ルフィは意図せず言ってのけたのだ。
一陣の潮風が吹き、応えるようにAのピアスが擦れて音を立てた。
「おう!だから仲間になれよ!!」
ルフィが掌を差し出した。
Aも手を伸ばし、その掌を取るかのようにみえた、が。
伸ばした手はルフィの鼻を摘み、Aは悪戯げに笑った。
「ふがっ!」
『ふふ、でもダァメ。』
「なんだよ!」
『私個人の夢よりも、私の恩人の悲願を継ぎたいのだよ。ほら、此れ。』
「なんだぁ?……ロビン!」
Aがルフィに手渡した手帳には彼女らしくほぼ全てのページにきっちりと文字が書き込まれている。本を読む習慣のないルフィはすぐに音を上げ、ロビンに投げ渡された。
「「ニチェード侯爵 /Guns×48」「レベス王国軍特務部隊/"S"×15」…取引内容のメモみたいね。このバツ印はなに?」
『ふふ、それはとある取引を行った組織や国家のリストなのだよ。印の付いた組織は…まぁ言わなくても理解るだろう?』
「そいつらを全部潰すことがお前のやりてェ事か」
真っ先に察したのはゾロで、深黒色の瞳が覚悟を問うような視線で射抜く。
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まどろみマフィア(プロフ) - ぽ、ぽぽぽぽぽポートマフィア?!なんですと?!ギュフフィンフィン(ポトマが出てきて歓喜中の中也推し) (1月25日 0時) (レス) @page37 id: 2cd01fe314 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:翠 | 作成日時:2022年11月7日 10時