壱話 / 漂流者 ページ2
アラバスタでの冒険を終え、ニコ・ロビンを仲間に加えた麦わらの一味。
新たな島へ舵を切る最中、慌ただしい冒険の継ぎ目のほんのひと時の穏やかな時間が船内に流れていた。
飽きもせず自身の鍛錬に取り組む者、風に髪を靡かせ優雅に紅茶を啜る者、そんな彼女に鼻を伸ばす男。
見張り番として展望台で双眼鏡を構えていたニコ・ロビンが階下の船長、モンキー・D・ルフィに声をかけた。
「船長さん、海になにかが浮いてるわ。何かしら」
「んん〜〜?なんも見えねェぞ、ロビン!」
その声に反応した他の船員も皆それぞれ海に目を向ける。
「ルフィ、そっちじゃなくてこっちじゃない!?」
「うぉぉぉぉぉぉ!?アレ人じゃねェか!?!女だ!!」
青い海にペンで点を打ったような黒い影がぽつん、と波に揺られて海を漂っている。
よく目を凝らせばそれは人の形をしているようにも見えた。
「大変!助けなき 「レディが溺れてるゥ〜〜〜!?!?愛の奴 隷サンジ、今助けに参ります!!」 ……心配なさそうね」
ナミが指示を出すまでもなく海に飛び込んだサンジによって、目鼻立ちの整った女が引き上げられた。
びしょ濡れの白磁の頬に長い睫毛が影を落とし、どうやら気を失っていることが分かる。
黒髪の女はその細身な体躯に不釣合いなサイズの外套に身を包み、ベストやスラックスを纏った出で立ちはどこぞの上流階級の気品を感じさせる。
違和感と言えば服から覗く肌の部分が殆ど包帯で埋め尽くされていることだろうか。
しかしその風体や顔立ちよりも、真っ先に一味の目を引いたものがあった。
なんと女の頭の横に悪魔のようにも、鬼のようにも見える薄青のツノがくるりと丸まって生えているのだ。
「気ィ失ってるぞ」
「医者ァァ〜〜〜!!あ、おれだァ〜!!!!」
「ツノォォォォ〜!?! ヤベぇってこいつ、おれの「関わるなメーター」がどんどん上がってくってェェ!!」
「にしし、まァ大丈夫だろ。おーい起きろよ」
怯えるウソップたちを尻目に、ルフィは呑気に女の頬を突っつき始めた。
すると女の瞼が突然パチリと開き、気怠げに身体を起こすと周囲を見渡してそれはそれは深く溜息を吐いたのだった。
『はァ…また失敗か。ちぇっ』
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まどろみマフィア(プロフ) - ぽ、ぽぽぽぽぽポートマフィア?!なんですと?!ギュフフィンフィン(ポトマが出てきて歓喜中の中也推し) (1月25日 0時) (レス) @page37 id: 2cd01fe314 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:翠 | 作成日時:2022年11月7日 10時