私はきっとヒロインではない

現実を ページ12

ガチャ






部屋に入るとまだエドは寝ているようで私には気づいていなかった






あの1件からエドを見るのは初めてでとても緊張する









恐怖心









『…なんだ意外と大丈…夫…っ！』









久しぶりに見た彼にはそこにあるはずの腕と足が無くなっていた









アルの体の状態を見てある程度の予想はしていたが実際に見ると、目を背けたくなる程に残酷なものだった










ア「…A」








『一体…一体何をしでかしたのよ…何で…なんで』










ア「ボク達は…ただもう一度母さんに会いたかっただけなんだ…」











『な、に…言ってるのよ…』













死んだ人間はもう戻らない










それは誰だって分かること









でも今の彼らにはそれを理解する程の心の余裕はなかったのだろう











そこで私はあのとき見た光景を思い出してしまった









『あれ…は』












あのとき一瞬だけ見えたあの物体










蠢いていたあの物体












『あれがトリシャおばさんなわけない…だってれはっ！あれ…は、人間じゃ…』














吐き気がする 気持ち悪い












初めて感じたこれは









【嫌悪】










初めてこの二人に嫌悪感を感じた











ア「A…大丈夫？」









アルが私に駆け寄ろうとするのをおばあちゃんが止めた











ピ「アル…今やめときな」









ア「ばっちゃん…」















ピ「A…今日のところはもう家に帰えんな」














気がついたら私は自室のベッドで寝ていた








『あ……うぇっ…！』










どうしても頭から離れない







あれは本当にトリシャおばさんだったの？






いや、あれはまずお世辞にも人間と言えるような物体ではなかった











その日から一週間に一回程度の頻度でウィンリィと入れ替わった











毎回お花を摘んでエドが寝ている間にベッドの横にあった花瓶に刺して帰った









ウィンリィやアル、そしておばあちゃんには私からだとは言わないでほしいと頼んだ









そうこうしていると、どうやら軍の方がエドとアルに、会いに来たのだという









そこからはエドが元気を取り戻し、国家錬金術師なるものになるためにリハビリをしており、寝ている間にこっそり花を添えることが出来なくなり、ウィンリィに花を預ける事にした













勿論私からだとは伏せて

＿欠陥→←恐怖心

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す