Havana Beach【all】

3 ページ28

『あなたはその番号が俺のであったとして、それをこのライブ中にかけて何が見たいの？驚いた顔？怯える顔？怒った顔？』

『どうしたって他のメンバーが笑顔で君に声をきかせることは無いのに。もしかして笑顔じゃなくって怖がらせたいのか？』


ふと頭の中には昨日のマンネのLIVEがこびりつく
あの子のイラつきの中に滲み出る恐怖と不安


『ダメだよ。あの子達を怖がらせないで。あの子たちはarmyに笑顔を見せたいんだからそれを邪魔しちゃ駄目だ。』


いつだって何でもないように頑張ってるあの子達に無駄な心労はいらないだろ


『あなたのその行為はあなた以外の人間を陥れると共に自分も泥濘に嵌って自分自身すら見えなくなる。ある言葉で“賢者は先人に学んで愚者は経験で学ぶ”って言葉があるんだけど、あなた方が賢者に返り咲く事を願うよ』


そう添えてスマホをデスクに置く

言い切った言葉はそれなりに賛否両論で騒がれる明日が見えるけど、どうせ渦中の人間は俺だからまぁいいか
あと事務所から小言は言われるのは確定だな

それでも口を慎まなかったのはそれが俺の意思に反するものだと思ってしまったからであって、あの子達の顔が浮かんでしまったからだろう


アイドルなんだから当たり前


そんな言葉どこに行っても溢れかえる他人事のような言葉だけど、俺たちだって人間でいつだって完璧じゃない
間違ってる事は間違っていると言わないと伝わらない

誰が大切な人達が悲しんでいるのに目を瞑ることができるだんだ


『俺が好きでやってるにしても俺達が嫌いだからわざとやってるにしても、俺はメンバーを守りたいからそれ相応の対応をする。それだけは知っておいて』


そう伝えて俺は椅子の背もたれに背中を預けた

流れるコメント欄は共感の声と杞憂の声で溢れかえる。
どちらにしても俺の声はライブを通じて色んな所に届いていく

こんな事で迷惑行為が無くなることは無いのはわかっているけれどあの子にあんな顔をさせたのだから少しくらい大事になってもいいだろ

俺はあの子たちを守る為なら火の中にだって飛び込む覚悟でここまで来たんだから
舐めないでくれ

JM→←2

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す