玖 その意味は ページ9
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「任務失敗、ですかね」
私の横で、伊作先輩がそう言って苦笑いする。
さらにその横では、不機嫌な顔の留三郎先輩が自身の得意武器である鉄双節棍を、まるで鬱憤を晴らすかのようにくるくると回している。
「出城が建てられた目的を調べに来た……ってところか」
「いやぁー、あはは」
伊作先輩は、ごまかしが下手すぎる。
これでは、正解だと言っているようなものだ。
「……まぁいいか。
急な話だが明日、学園長先生に会いに行くのでそう伝えておいてくれないか、伊作くん」
「え? あ、わかりました!」
雑渡さん自ら学園長に会いに行くとは、よっぽど重要な話でもあるのだろうか。
「それと、この辺りを敵対する城の人間が彷徨いているというのは本当の話だ。このまま学園に帰るのなら、気をつけたほうがいいだろう
――なんなら、学園まで送っていこうか」
「え、本当ですか?」
と言いかけた伊作先輩を遮って、
「いえ、結構です!」
と留三郎先輩がハッキリと答えた。
「学園へ帰るぞ。伊作、A」
「私達も殿の元へ帰ろう、しょせんそんなもん」
「もろいずみ、です……」
諸泉尊奈門と呼ばれた忍者は、よく見ると結構若いようだった。プロ忍者の利吉さんと同じぐらいだろうか。
ようやく、学園に帰ることができる。
一日目ですでに食堂のおばちゃんが作る料理が恋しくなって、学園へ帰りたい衝動に駆られていたので、自分では頑張った方だろう。
「そうだ留三郎、今日は馬糞を踏んでないよ!」
「油断してると、帰りで踏むから気をつけろよ」
「わかってるよ〜〜」
学園までは少し距離がある。
距離があると言っても、日が昇り始めるまでには帰りつくはずだ。
「――あ、そういえば、諸泉尊奈門って誰なんですか?」
さっきからずっと疑問に思っていたことを口にした。
「ああ、諸泉さんは雑渡さんの部下で――」
その後の帰り道、雑渡さんや他のタソガレドキ忍者のことを色々教わった。学園の行事などによく遊びに来ていて、特に保健委員とは関わりが深いらしい。
久々に自分の部屋へ帰ってきて、同室の友人を起こさないように布団を出して眠りにつく。
今日は、というか今週はとても疲れた。
そういえば、「君を怪我させたら保健委員に怒られる」っていうのは、どういう意味だったんだろう。
考えても答えが出ないまま、いつの間にか私は夢の中へと落ちていった。
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廬。(プロフ) - 最高です……どうか続編頑張ってください……!! (2019年11月1日 13時) (レス) id: af811dac15 (このIDを非表示/違反報告)
鹿子木(プロフ) - ありがとうございます。ご馳走様でした。これからも頑張って下さい。 (2018年10月3日 4時) (レス) id: d5c9836270 (このIDを非表示/違反報告)
よしのや(プロフ) - 妖狐の巴衛さん» そのセリフは雑渡さんの発言になります!! まだまだ小説初心者ゆえ、表現が拙く分かりづらくて申し訳ないですm(_ _)m コメントありがとうございました!! (2018年6月17日 23時) (レス) id: 7e36950532 (このIDを非表示/違反報告)
妖狐の巴衛(プロフ) - 「……尊奈門、忍術学園の忍たまだ」は誰がかけた言葉なんですか? (2018年6月17日 21時) (レス) id: 2ff3e29f1d (このIDを非表示/違反報告)
よしのや(プロフ) - サラさん» ありがとうございます!! そう言っていただけると、すっごく励みになります(=´▽`=) (2018年4月5日 22時) (レス) id: 5bb94c3c23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:よしのや | 作成日時:2018年3月27日 20時