12. わずらう ページ45
※参拾弐話〜 組頭の視点※
この時私は初めて、この人を守りたい、と心の底から思った。
「こなもんさん……」
それを思ったまま行動に移していて、気づけば目の前に横たわるのは彼女に刃を向けていた忍びだった。
「雑渡昆奈門、だ」
何だろうね、君。
こんなに冷静で居るつもりなのに――
差し伸べた手を取られなかった時、こんなにも心が苦しくなって。
大丈夫ですなんて強がり、ばれてないとでも思っているのか。嬉しそうに笑っている顔も、きっと無理してるんだろう。
ねぇ、Aちゃん。
「組頭」
部下が声をひそめて近づいてくる。
「頼まれていた調査が終わりました。あの忍びは――」
これで、全てが解決するといいんだけど。
「Aちゃん、」
あの城の近くで、Aちゃんは家族と面会できることになった。
生憎、ご両親は簡単に城から出ることができないそうだ。たまの面会なら許されたらしい――。
そんなような事を伝えると、Aちゃんは何を考えているのかわからないような表情で、小さく「はい、」とだけ応えた。
まぁ、許されたらしい……というか、こちらがそうなるように仕掛けたんだけどね。そんなことまでは、言わないけれど。
(好きな人の為なら、だからね)
私がそれを認めてからというものの、主に狼隊の間では微妙な空気が流れていた。
黒鷲隊の方まで噂が行っているのか、押都長烈に関しては顔を合わせる度に揶揄ってくるようになって、本っ当煩わしかった。
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廬。(プロフ) - 最高です……どうか続編頑張ってください……!! (2019年11月1日 13時) (レス) id: af811dac15 (このIDを非表示/違反報告)
鹿子木(プロフ) - ありがとうございます。ご馳走様でした。これからも頑張って下さい。 (2018年10月3日 4時) (レス) id: d5c9836270 (このIDを非表示/違反報告)
よしのや(プロフ) - 妖狐の巴衛さん» そのセリフは雑渡さんの発言になります!! まだまだ小説初心者ゆえ、表現が拙く分かりづらくて申し訳ないですm(_ _)m コメントありがとうございました!! (2018年6月17日 23時) (レス) id: 7e36950532 (このIDを非表示/違反報告)
妖狐の巴衛(プロフ) - 「……尊奈門、忍術学園の忍たまだ」は誰がかけた言葉なんですか? (2018年6月17日 21時) (レス) id: 2ff3e29f1d (このIDを非表示/違反報告)
よしのや(プロフ) - サラさん» ありがとうございます!! そう言っていただけると、すっごく励みになります(=´▽`=) (2018年4月5日 22時) (レス) id: 5bb94c3c23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:よしのや | 作成日時:2018年3月27日 20時