弐拾弐 暗転 ページ32
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今月二度目の、和菓子屋参戦。
伊作先輩、食満先輩の二人と門の側で集合してから出発する予定だ。
友人も誘ったが、今日は学園長直々に任務を言い渡されているそうだ。
流石、同室の私と正反対なくらい成績優秀なくノたまだ。羨ましくなんて全然――いや、本当はちょっと羨ましい。
「A、おはよう! 遅くなってすまない!!」
「おはようございます! ……ん?」
慌てて走ってきた伊作先輩の後ろにいるのは、食満先輩ではなかった。
「急ぎの任務で来れなくなった留三郎の代わりに、私が行くことになった。よろしくな、A」
「こ、こちらこそ!」
六年い組、立花仙蔵先輩。
あまり喋ったことはなかったが、改めて近くで見ると長い結髪がとても綺麗。
くノたま達が口を揃えてかっこいいと騒ぐ理由も、わかる気がする。
友人も食満先輩も急な任務だなんて、やっぱり優秀な生徒は沢山任務を与えられるのだろうか?
「じゃあ、早速行こうか!」
「おーっ!」
三人分の外出届を見て、小松田さんが「今日はみんな出かけていくなぁ」と独り言のように呟いた。
「君たちも、学園長先生からの任務?」
「いえ、私達は町の和菓子屋へ団子を買いに行こうと思って!」
「ああ! それならさっき他の生徒も、和菓子屋へ行くって楽しそうに出かけていったよ」
「やっぱり人気なんだなあ。大行列ができる前に、早く行かないとね!」
「待て伊作、そんなに慌ててもお前の不運を誘発するだけだ」
こうして、私達は出発した。
伊作先輩の不運も大きく暴走することなく、とうとう和菓子屋の行列が遠くに見えてきた。
「わああ、やっぱり混んでるなあ」
「まぁ、人気の店といったらこんなものだろう」
「私が行ったときよりも、列が長いように見えます……」
そうして私達は、無事和菓子屋に到着して列に並び始めた……はずだった。
あれ。
なんで、私は森の中で包帯を握りしめているんだろうか。
周りから聞こえる爆発音と、金属のぶつかり合う音が耳に響く。
「怖いか」
私に話しかけたのは伊作先輩でも立花先輩でもない。
なんで、貴方が隣に居るんですか。
雑渡さん。
一刻前、呑気に和菓子屋へ並ぼうとしていたときから余りに急すぎる展開に、私は必死に頭の中を整理しようとしていた。
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廬。(プロフ) - 最高です……どうか続編頑張ってください……!! (2019年11月1日 13時) (レス) id: af811dac15 (このIDを非表示/違反報告)
鹿子木(プロフ) - ありがとうございます。ご馳走様でした。これからも頑張って下さい。 (2018年10月3日 4時) (レス) id: d5c9836270 (このIDを非表示/違反報告)
よしのや(プロフ) - 妖狐の巴衛さん» そのセリフは雑渡さんの発言になります!! まだまだ小説初心者ゆえ、表現が拙く分かりづらくて申し訳ないですm(_ _)m コメントありがとうございました!! (2018年6月17日 23時) (レス) id: 7e36950532 (このIDを非表示/違反報告)
妖狐の巴衛(プロフ) - 「……尊奈門、忍術学園の忍たまだ」は誰がかけた言葉なんですか? (2018年6月17日 21時) (レス) id: 2ff3e29f1d (このIDを非表示/違反報告)
よしのや(プロフ) - サラさん» ありがとうございます!! そう言っていただけると、すっごく励みになります(=´▽`=) (2018年4月5日 22時) (レス) id: 5bb94c3c23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:よしのや | 作成日時:2018年3月27日 20時