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4. 不幸中の幸い ページ21

※ 拾参〜拾肆 組頭の視点 ※

「私は、」

 ようやくAちゃんが口を開いたのは、私達が矢羽根交じりに口論している最中だった。


「強い人になりたいです、雑渡さんのような」




 やっぱりこの人間は、行動が読めない――突然何を言い出すのかと思ったが、やはり何を言っているのかわからない。

 本人も、緊張しているのか何なのか顔をしていて、おそらく自分でも何を言っているのかわからないんだろう。


「強い人になりたい……と」


 聞きたいことは沢山あるが、とりあえず一つに絞ろう。


「じゃあ、Aちゃんにとっての強いって、なんだ」

 自然に強まる視線に、恐怖を抱くような表情を見せた。怖がらせたつもりじゃないのに。

「うーん……雑渡さんみたいに、自分だけじゃなくて他人まで助けられる余裕があること……だと、思います」


「……そうか」



 もうちょっと面白い答えが来てほしかったが、仕方がない。

 反応を伺うようにこちらを見ているAちゃんにあえて何も言わず、伏木蔵くんの所へ戻っていくことにした。





「こなもんさん、おかえりなさぁい。見てください、薬草がこんなにたくさん採れたんです!」

「すごいじゃないか伏木蔵。流石、保健委員さん」

 頭を撫でてやると、伏木蔵くんは照れるように笑った。

「えへへ……それよりこなもんさん、さっき三人で何を話されていたんですか?」

「見ていたのか」

「はい! ……あの後こなもんさんを目で追っていたので、木陰に隠れて二人の話を盗み聞きしていたのも、ばっちり見てました」

「……本当、流石だ。忍びとしての将来が楽しみだよ」


 懐から雑炊を取り出して、一口飲んでからまた話を再開した。


「Aちゃんは、私のことをどう思っていると思う」

「A先輩? ……も、もしかしてこなもんさん、A先輩のことが好――」
「……大人をあんまりからかうんじゃありません」


 ああ、聞き方が悪かった。
 これを聞いた相手が乱太郎くんだったら、間違いなく忍術学園中へ言いふらされていただろう――不幸中の幸い、ってやつだ。


「A先輩のことは、あまり話したことがないので詳しくわかりませんが……伊作先輩なら、A先輩とよく会話されているので、詳しいかも」

「そうか、ありがとう」

「やっぱり、こなもんさん……」

「昆奈門、だ」

 無意識に、ため息をついていた。

5. 陣左→←3. 嫉妬じゃない



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廬。(プロフ) - 最高です……どうか続編頑張ってください……!! (2019年11月1日 13時) (レス) id: af811dac15 (このIDを非表示/違反報告)
鹿子木(プロフ) - ありがとうございます。ご馳走様でした。これからも頑張って下さい。 (2018年10月3日 4時) (レス) id: d5c9836270 (このIDを非表示/違反報告)
よしのや(プロフ) - 妖狐の巴衛さん» そのセリフは雑渡さんの発言になります!! まだまだ小説初心者ゆえ、表現が拙く分かりづらくて申し訳ないですm(_ _)m コメントありがとうございました!! (2018年6月17日 23時) (レス) id: 7e36950532 (このIDを非表示/違反報告)
妖狐の巴衛(プロフ) - 「……尊奈門、忍術学園の忍たまだ」は誰がかけた言葉なんですか? (2018年6月17日 21時) (レス) id: 2ff3e29f1d (このIDを非表示/違反報告)
よしのや(プロフ) - サラさん» ありがとうございます!! そう言っていただけると、すっごく励みになります(=´▽`=) (2018年4月5日 22時) (レス) id: 5bb94c3c23 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:よしのや | 作成日時:2018年3月27日 20時

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