3. 嫉妬じゃない ページ20
※ 拾壱〜拾参 組頭の視点 ※
「Aちゃんも一緒なんだね」
「……何故ここにいらっしゃるのですか」
冷たく、少し緊張した視線突き刺さる。
未だに出城での一件を、未だ引きずっているのだろうか。
「それじゃあ、手分けして集めよう」
私達は、二人ずつ手分けして薬草を集めることになった。
「こなもんさんと一緒に薬草取り、スリルとサスペンス……!」
「保健委員会の不運のほうが、よっぽどスリルとサスペンスだと思うけどね。
ところで、Aちゃんは何故一緒だったんだ?」
「A先輩なら、任務を失敗させたお詫び……とか仰っていたのですが、詳しくは……こなもんさん、A先輩の事ご存知なんですか?」
「ああ、少しだけな」
任務を失敗させたお詫び……か。
「こなもんさーん!こっちに、どくだみがいっぱいありましたぁ」
「よく見つけたね伏木蔵くん、えらいえらい」
伏木蔵くんが嬉しそうに笑う十丈ほど後ろで、気まずそうな空気が流れる二人がいた。
尊奈門と、Aちゃん。
二人は何か喋ったあと、Aちゃんが可笑しそうにくすくすと笑うのが見える。
――なんか、癪に障る。
別に嫉妬とかそういうのではない、けど。
「伏木蔵くん、すぐ戻るからちょっとだけ待っててくれ」
「? はあい」
『――と初めて顔を合わせたときに言っていたんだ、笑顔が素敵なお方だ――って』
二人は、ひたすら蓬を抜いては籠へ入れ続けている。
からくり人形のように、無機質な動きだ。
暫く二人の話を盗み聞きしていたが、Aちゃんはちっとも口を開く気配がない。
そろそろ、出ていくか。
「どうしたんだ?――二人揃って、辛気臭い顔なんてして」
「っ、組頭」
「別に、笑顔が素敵……と言ったことに深い意味はないよ。偶然」
「……組頭、いつから聞いていらしたのですか」
「さあ〜」
Aちゃんは、なにか考え込む様に俯いていた。
私の過去を知って、彼女はどう思ったのだろうか。
「組頭がそう仰っていたので、つまりはそういう……」
「だ〜から違うって」
「え? でも任務の成否を賭けたときだって……
そもそも、組頭がこんなに一人の人間のことを気にするなんて、珍しいですよ」
私が何も返さずにいると、尊奈門はわざわざ矢羽根を使って、何年組頭のお側に付いていると思っておられるのですか、と追い打ちをかけてきた。
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廬。(プロフ) - 最高です……どうか続編頑張ってください……!! (2019年11月1日 13時) (レス) id: af811dac15 (このIDを非表示/違反報告)
鹿子木(プロフ) - ありがとうございます。ご馳走様でした。これからも頑張って下さい。 (2018年10月3日 4時) (レス) id: d5c9836270 (このIDを非表示/違反報告)
よしのや(プロフ) - 妖狐の巴衛さん» そのセリフは雑渡さんの発言になります!! まだまだ小説初心者ゆえ、表現が拙く分かりづらくて申し訳ないですm(_ _)m コメントありがとうございました!! (2018年6月17日 23時) (レス) id: 7e36950532 (このIDを非表示/違反報告)
妖狐の巴衛(プロフ) - 「……尊奈門、忍術学園の忍たまだ」は誰がかけた言葉なんですか? (2018年6月17日 21時) (レス) id: 2ff3e29f1d (このIDを非表示/違反報告)
よしのや(プロフ) - サラさん» ありがとうございます!! そう言っていただけると、すっごく励みになります(=´▽`=) (2018年4月5日 22時) (レス) id: 5bb94c3c23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:よしのや | 作成日時:2018年3月27日 20時