壱拾伍 森の中 ページ17
「じゃあ、行ってきまーす」
「はあい、お気をつけて〜」
実家に帰るのは、夏休み以来。
周りにもちらほらと、実家に帰るのであろう生徒が歩いていた。
今日はそんなに長居できないが、ご飯を食べて、少し畑仕事を手伝って、弟や妹達と遊んでやるくらいは出来るだろう。
保健委員会のために薬草を貰ってくることも、忘れてはいけない。
歩き始めていっとき。
目の前にあるこの薄暗くて深い森を抜けた先が実家だ。
入学したての頃は不気味に思えたが、もうこんなような森は実習で見慣れている。
足を踏み入れると、枯れ葉や枝のパキパキという音が響く。
その音を楽しみながら軽く駆け足で進んでいると、木の上に何かの気配がした。
木の上にいるなんて、なんの動物だろうか？
そう思い、足を止めて見上げれば、一丈程の木の上に何か黒い生き物が見えた。
人間だ。それも、忍び装束を着た人間。
一瞬体がこわばったが、すぐに見慣れた人物だとわかり力が抜ける。
「あれ、Aちゃん。
こんなところで何をしているんだ」
「くみが……雑渡さん」
この前、尊奈門さんが組頭、組頭、と連呼していたのを思い出し、私まで組頭と呼びそうになった。
「この森を抜けた先に、私の実家があるんです。帰省する途中で」
「森を抜けた先……」
雑渡さんが突然木から降りてきて驚き、思わず後ずさる。
「この辺りは今、危険だ。
タソガレドキと対立する城の忍びが、ここに潜んでいるとの情報が入った―――兎に角、私が安全な場所までついていく」
「わ、私だってちゃーんと忍術学園で学んでいる身です！ 護身ぐらいできま……」
尊奈門の攻撃すらかわせなかったのに――と返される予感がして、途中で口を閉じた。
そう考えると、もし一人で歩いてなんかいたら、タソガレドキ忍者や対立する城の忍びに一発で捕まってしまいそうだ。
「……案内、お願いします」
保健委員に安全に薬草を届けるためにも、ここは素直についてきて頂くことにしよう。
「こっちだ」
雑渡さんが私の腕を掴んで歩き始めた。
「うわっ、ちょ、っと……」
「……ん、なんだ。手を繋ぐほうが良かったか」
振り返って意地悪そうに笑う雑渡さんから目を逸らした。
その割には、私に合わせてかいつもよりゆっくりと歩いているし、うでだって優しく掴まれている。
学園長先生や先輩方も言っていたが、この人は本当に何を考えているのかわからない。
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廬。(プロフ) - 最高です……どうか続編頑張ってください……!! (2019年11月1日 13時) (
レス) id: af811dac15 (このIDを非表示/違反報告)
鹿子木(プロフ) - ありがとうございます。ご馳走様でした。これからも頑張って下さい。 (2018年10月3日 4時) (レス) id: d5c9836270 (このIDを非表示/違反報告)
よしのや(プロフ) - 妖狐の巴衛さん» そのセリフは雑渡さんの発言になります!! まだまだ小説初心者ゆえ、表現が拙く分かりづらくて申し訳ないですm(_ _)m コメントありがとうございました!! (2018年6月17日 23時) (レス) id: 7e36950532 (このIDを非表示/違反報告)
妖狐の巴衛(プロフ) - 「……尊奈門、忍術学園の忍たまだ」は誰がかけた言葉なんですか？ (2018年6月17日 21時) (レス) id: 2ff3e29f1d (このIDを非表示/違反報告)
よしのや(プロフ) - サラさん» ありがとうございます!! そう言っていただけると、すっごく励みになります(=´▽`=) (2018年4月5日 22時) (レス) id: 5bb94c3c23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしのや | 作成日時：2018年3月27日 20時
