、、 ページ19
「・・・わかった」
「よし、約束だからね！」
やたら元気の良い声が聞こえたかと思うと、先程までのしんみりした空気は何処へやら、実羽は実にいい笑顔になって、「うんうん、一度一緒に行ってみたかったんだよね、あそこ」などと呟いている。
・・・ちょっと変わり身早すぎはしないか？
いろいろ納得いかない気もしたものの、「ねえ、いつがいいかな？あ、ランチで構わないからね、さすがに」などと無邪気にスマホ画面をぐりぐりし始める実羽の様子を見ていたら、なんだかどうでもよくなってしまった。
「・・・ちょっと、なに笑ってるの？」
「別に笑ってないが」
「笑ってた！
私のこと馬鹿にしてたでしょ」
しばらく、そんな他愛もないやり取りをしていただろうか。
思った以上に時間が過ぎていて、二限が終わる頃合いになっていたらしく、クラスメート達が続々と姿を見せ始めた。
「や、お二人さん。
場所取りご苦労さんです」
しれっとした顔で俺の隣に座ったのは植原だ。
「真衣、お疲れー」
「れなきち、おつー」
実羽の隣には�盒兇�やって来て、ふざけて敬礼をしあったりしている。
この二人は何かとウマが合うらしく、合宿で同じ班になった時もすぐに打ち解けていた。
女子二人がきゃあきゃあと盛り上がっている隙に、俺は植原の脇腹を小突く。
「植原。
お前、実羽が食堂にいること知ってただろう」
「いや？
�盒兇気鵑話里辰討燭辰櫃い韻鼻�俺は察しただけ」
「気づいてたんなら警告してくれよ・・・」
「別に、お前ら仲悪いわけじゃないでしょ。
あんな可愛い子に言い寄られてるのに迷惑扱いとは、さすがイケメンだ」
「言い寄られてるわけじゃないぞ」
「似たようなもんでしょうよ。
最初から好感度マックスの幼馴染キャラでも、あんな分かりやすいオーラは出してないぞ」
俺はため息を一つついた。
そして話を変えようと口を開く。
このままでは変な方向に話が進みそうだったからだ。
「ぼちぼち学園祭の準備、進めていかないとな。
もうあと一カ月ないだろ？」
そう。
大学の祭典、学園祭だ。
俺たちの大学では年に二回学園祭が行われており、一方は毎年五月に開催されている。
学園祭があること自体は別に何の問題もないのだが、入学直後の一年生がクラス毎に屋台をやるのが恒例だというから、なかなかにハードだ。
実質、準備期間が一カ月ほどしかない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆん | 作成日時：2018年7月20日 22時
