四獣の王【usss】 (ページ9)

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3匹目ページ9

普通サイズに戻ったやまだぬきを抱き抱えたうらた様がこちらに向き直る。

「今夜は疲れたでしょ？一度城に来なよ、聞きたいこともあるし」
『え！？』

お城には滅多に人はお呼ばれされない、ましてや庶民なんて以ての外だ。

「遠慮しなくても、別に城に来るの禁止してるわけじゃないんだし、それに城の方が色々揃ってるからさ…」

「おいで？」

一国の王にここまで言われてしまったら、断る方が逆に失礼だと思って私は素直に頷いた。あとこんな美形の人においで、なんて言われて断る女性いないと思う。

ゆっくり歩き出したうらた様のあとを着いて歩く。
お城に着くまでの間、うらた様は沢山お話をして下さったり、たまにやまだぬきちゃんを撫でさせてくれたりした。(女の子らしいのでちゃんで呼ぶことにした。)
昼間にお会いする時よりもずっと柔らかくて無邪気な姿がとても新鮮だった。

「到着〜！」

お城に着き門が開く。
うらた様に「どうぞ〜」なんて緩く言われたが、一応礼をして門を潜る。
もうすぐ本丸に着くという所で、本丸の扉がバンッと勢いよく空き、中から人が凄いスピードでこちらに走ってくる。

「うらっさ〜ん！！！」
『え？』
「はぁ…うるさいのが来た」

段々と近づいてくると容姿がはっきりして見えてくる。
真っ赤の髪にうらた様と同じ羽織、薄暗い中でしっかりと光る深紅の瞳。
この国の3人目の王。坂田様だ。

「うらっさん！大丈夫か！なんか嫌な予感したんやけど！怪我してないか！おいやまだちょっと怪我してるやんか！」

勢いそのまま、うらた様の肩を掴んだ坂田様は捲し立てるように話す。

「坂田！大丈夫だから落ち着け」

うらた様の言葉に一瞬はっとしたような表情を見せ、次の瞬間には眉尻を下げてしょんぼりとした顔をしていた。

「ごめん…」
「いいから、この子城の中に案内して？」
「ん？誰こいつ」

スっと目を細めて警戒心たっぷりに見られるのはなんだか品定めされてる様に感じていい気がしない。
気まずさに視線を逸らすと、うらた様が坂田様の頭をぐーで殴った。

「いだっ！」
「女の子をこいつ呼ばわりしないの！町で保護してきた子だから、優しくしろよ」

「俺はやまだ見なきゃだから〜」とひらひらと手を振りながらうらた様はお城の中へ入っていった。