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「すご！当たり当たり！」
「細かいとこまで見てるんだな」
『いや、そんな事は…』
確かに物によっては細かい部分もあるかもしれないけど、どれも見れば分かる事なのに…
「なぁ、なんで俺は酒が好きって思ったん？」
『それは、志麻様のお飲み物が1つ多かったのと、最初に少しだけ飲まれていたので、食前酒なのかと…』
「は〜、ほんまによう見とるなぁ」
3人が口々に話す中、言い出しっぺのセンラ様だけが、私の事をじっと見ている。
『どうかなさいましたか？』
視線に耐えきれずセンラ様に話しかける。
「いや、ほんまによう見てはるんやなぁって感心してたんです」
笑顔のままそう言うと、黙々とご飯を食べ始めた。
流れるように綺麗な動きに崩れない表情、よく言えば完璧、悪く言えば人間味がないセンラ様は何だか怖く感じてしまう。
「なぁなぁ！他にも何か気づいた事無い？」
『他にも、ですか？』
嬉々として聞いてくる坂田様は、センラ様と対照的でとても接しやすく、こういった時は非常に助かる。
「坂田、食事中なんだからあんま騒ぐな」
「えー、ちょっとくらいええやん！」
「はぁ…一旦テンション上がるとダメだな」
世話焼きなうらた様は坂田様によく注意をしているけど、厳しく言い過ぎる事もなく、優しく見守っているのは、坂田様をしっかり理解しているからだろう。
「Aちゃん俺の好みもっと知ってや」
「志麻くんまで何言うてんの」
志麻様は時々茶々を入れてくるけど、そのお陰で場が和むので、実は1番状況が見えているんじゃないかと思う…全部少しだけ下心があるのはどうかと思うが。
「まーしーは工ッチやからな〜」
「坂田はスケベやんな」
「2人ともやめろ」
『ふふっ…』
やり取りが面白くて、我慢出来ずに笑ってしまった。
「あ、A笑った！女の子はやっぱ笑顔の方がええよ！」
『え？』
「それは坂田に同意やな〜」
穏やかな表情で見つめてくる2人に戸惑ってしまう。
「Aはあぁ言ってたけど、これから一緒に暮らすんだし、少しずつでも素で居れるようになったら嬉しいよ」
真っ直ぐに見つめてくるうらた様の目を見ていられなくて、視線を手元に落とす。
『…頑張ります』
続く
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作者名：りある | 作成日時：2023年6月22日 6時
