四獣の王【usss】 (ページ21)

今日:8 hit、昨日:7 hit、合計:11,260 hit

眼ページ21

「では、A様」
『はい』

陽花が襖を引いてくれるのを待って外へ出ると同時に、ケンが足元に駆け寄ってくる。

『お待たせしました』
「全然待ってへんよ～、にしてもケンすっかり懐いてんな～」
『ふふっ、嬉しいです』

足元で尻尾を振りながら走り回る姿がとても可愛らしい。

「ほな行こうか～」
『はい！』

先程と同じように坂田様の横を歩いて昨日の部屋まで向かった。

部屋の前に着くと、坂田様が居たからか後ろを着いてきていた陽花がさっと前に周り襖を引く。
中に入ると既にうらた様の他に志麻様とセンラ様もいらっしゃった。

『志麻様、センラ様、おはようございます』
「おは～」
「おはようございます」

3人が座っている所を見ると、昨日までは二脚しか無かったはずのソファーに加え、手前側に1人がけのソファーが増えていることに気づいた。

「Aの席そこな」
『わざわざ用意してくださったんですか？』
「そりゃ、いつまでも2人がけの所に3人だときついだろ」
『ありがとうございます』

てっきり私は床だと思っていたので、うらた様からの心遣いが嬉しい。
まぁ絨毯がふかふかだから正座でも充分快適ではあるけど。
そう思いつつ坂田様が座るのを待ってから、私も席に着く。

「んじゃまぁ、これからの諸々を話していきたいんだけど、とりあえずAが働いてた所には使いをやって事情は説明させてるから心配しないで」
『ありがとうございます』

夜に無断で居なくなって帰ってないので、正直今1番気になっていたところだった。
先に手を打ってくれてとても助かる。
許可を貰えるのであれば、後で私からも直接話しに行こう。

「部屋はあそこ使って貰っていいし、分からない事とか足りない物があったら俺らでも従者にでも言って欲しい」
『はい』

これからあんな素敵な部屋を使わせてもらえると思うと改めて楽しみだな～。

「と、あと1番重要なのがAの目にどんな力が宿っているかなんだけど…」

4人の視線が一斉に私に向く。
急に「貴方の目には特別な力がありますよ」なんて言われても正直実感なんてない。
私は困ったように笑うしか無かった。