見える者 ページ13
『…と、いう感じです』
私が一通り話終えると、皆様難しそうな顔をしていた。
「Aちゃんは人を追って外に出たんよね？」
『はい』
私の答えを聞いたセンラ様はまた「うーん」と考え込んだ。
「影の話はうらたんから聞いたんよね？実は俺達は影が悪させんように毎晩交代で見回りしてるんよ。それで今日はうらたんが当番やったんやけど…」
「今夜はA以外、誰とも会ってないんだ」
『えっ…』
皆様が悩んでいる理由はわかったが、だとしたらなんでお店の扉が？
確かに扉の開く音が聞こえたし、現に扉は開いていた。
表の戸締りは必ず女将さんがしているし、今まで閉め忘れていた事なんて1度もなかった。
扉が開いていたのに外には誰も居なかった、という事実にぞっとして堪らず着物を握りしめる。
「それともう一つ、Aちゃんが影を見る事が出来とるってことも普通じゃありえへんのよ」
『…普通の人にはあれは見えないんでしょうか？』
確かな事が分からなかったのでほぼオウム返しのように聞き返す。
「そうなんよ、影は基本俺達にしか見えん。でもAちゃんが見れたって事は何かしら俺らと似た力を持ってるからやないかなって」
何故王にしか見えないのか、力とは何なのか、素直に聞きたいところだが「今は聞くな」とでも言うような圧を感じたので、開きかけた口を閉じる。
それを見たセンラ様は一瞬目を見開いたが、望んでいた反応だったからか満足そうに微笑んだ。
「Aに俺達と同じような力があるなら、今住んでる所に帰すと危ないかもしれないな…」
「せやな〜、俺も自分とこの可愛い子が危害加えられるとか心配でならんわ」
「Aちゃんはまだ自覚もしてないみたいやし…」
「ならここに住んでもらえばええんとちゃう！？」
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作者名：りある | 作成日時：2023年6月22日 6時
