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カイがあの日、この道を通ったのは本当に偶然だった。
一年の準備期間を経て、カムバックを一週間後に控えたあの日。
本当はまっすぐ宿舎へ帰るべきところを、カイの足はどうにも素直に動かなかったようだ。
何ともいえない、襲いかかる焦燥感。
止まることを知らない、高まる緊張感。
カイは自分でも気付かない深層心理で、初めて逃げ出したいと思ったのだろう。
ふらふら、両足の好きにさせた先にぼくが塀から飛び降りてきた。
いつもと違う出会い。
(‥こいつが今“ここ”とは異なる世界へ連れて行ってくれるのかも？)
暗闇に差し込んだ一筋の光、それは希望――？
ふいに呼ばれたもう一人の自分を表す名前に一瞬だけ不安がよぎっただろう。
でも、カイは「ぼく」についていくことを選んだ。
そして、ヌナに会って、ヌナに縋った。
陽だまりみたいな彼女の笑顔に安堵したのはカイも一緒だった。
カイがヌナに救いを求めた。
だから、自分が悪いおとなだなんて思う必要は全くないさ。
『好きだからこそ、こわくなるよね。』
『ぬな‥』
ヌナの肩に縋っていたカイが顔を上げる。
カイの頬にヌナが左手を添えた。
『でも、辞められないんでしょう？』
『うん、』
二人の視線がかち合って、二人の瞼が下りた。
額が触れ合う。
カイの頬を包み込むヌナと、ヌナの背中を抱き込むカイ。
『好きなものは好きなままでいい。
こわくなったら、またこうして私があなたを抱きしめるよ』
その言葉を合図に二人はひしっと再び抱き合った。
そうして、カイは一歩踏み出した。自分の立つべきステージへ。
新しい世界への扉を開けるために。
＊＊＊
ああ、もうクタクタだ‥。
紙袋を床へ投げ捨てて、シャワーもまだだがベッドへダイブする。
連日行われる各種の撮影に、腰はとうに悲鳴を上げていた。
きっとイーシンも同じように感じているだろう。
今日のバラエティは兄さんと二人だったけど、微笑む彼の目には疲れが溜まって見えた。
いつもなら盛り上げてくれるヒョンたちもいないから、がんばって喋ってみたけど‥‥
反省がてら目を閉じれば、まぶたの裏に今日の出来事がよみがえる。
“にゃーぉ”
ふと誰かに呼ばれた気がしてカイは窓へ顔を向けた。
“にゃーぉ”
やはり聞こえる自分を呼ぶ声。
カイの脳裏にあの日の出会いが過ぎる。
(俺を救い出してくれた、俺の女神‥)
ぬなに会いたい。
ひだまりみたいなあの笑顔をもう一度‥‥そこでカイの意識は途切れた。
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ageha(プロフ) - なな子さん» なな子さん、ありがとうございました(^^) うまく書けるか分からなかったですけれど、ちゃんと伝わって良かったです!!きっとまた会えると信じて…(*^^*) (2015年11月2日 18時) (
レス) id: 637dbcfcc6 (このIDを非表示/違反報告)
なな子(プロフ) - ひょっこりどころじゃない(TT) 涙の海にオボレマシタ。。。来世でも逢いたい。。。 (2015年11月2日 10時) (レス) id: 0b45d56dd5 (このIDを非表示/違反報告)
ageha(プロフ) - もっちさん» もっちさん、こんばんは^^早速お越しくださり、ありがとうございました！完結してからも沢山の方が読んでくださるようで、アンコールを書いてしまいました。またお付き合いください!!そして、ツイの方も是非どうぞ(^-^)/ お待ちしております♪ (2015年9月23日 22時) (レス) id: 637dbcfcc6 (このIDを非表示/違反報告)
もっち(プロフ) - そして…実は…先程ツイの方にお邪魔しに行きながらも…変態なおばぺんなので(笑)まだ声かけ恥ずかしい！！とフォローお願いせずに戻ってきてしまいましたf(^^;また、勇気をだして！？フォローのお声かけさせていただきますね？m(_ _)m (2015年9月23日 2時) (レス) id: bd62209fae (このIDを非表示/違反報告)
もっち(プロフ) - こんばんは(^ー^)agehaさんはお気に入り作者さんとして登録済みなので更新情報が上がってて,早速来ちゃいました(^ー^)猫のカイくん、いよいよ猫の姿からの変化？アンコールもドキドキです！更新ありがとうございます(^ー^) (2015年9月23日 2時) (レス) id: bd62209fae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ageha | 作成日時：2015年3月23日 14時
