Miracle de Decembre (ページ4)

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「どれだけ外見が格好良くても、横柄な態度の人は印象が良くないよね。」

彼女は遠い昔を振り返るように話し出した。
以前は日本に住んでいて、好きなアイドルがいたと。
ある日、偶然に駅で彼女はその人に出くわしたそうだ。
しかし、彼は構内禁煙のホームで煙草に火をつけふかした後、それを地べたに捨て、足で火を消したのだ。

「あれは本当にショックだったわー。
　別に本命はその人じゃなかったけど、一気にそのグループに対する熱も冷めたわ。」

以来、彼女はアイドルが好きではないらしい。

(それじゃぁ俺がどうこうする以前の問題なんじゃ…)

話を聞いて項垂れそうに僕の心を見透かしたように彼女は続けた。

「アンタの場合は横柄な態度って言うより、『俺って格好良いでしょ！』的なオーラを放っている所が気に喰わないんだけどね。」
「……すみません。」

それって嫉妬？とは口にしない。
こういうときはすぐ謝るに限る。
僕は続きを促した。
ギロッと僕をにらんだかと思うと、今度はフッと笑って

「冗談よ、真面目な人だって分かってる。」

と続けた。

「でも、一番は本心が見えない所かな。」

ま、個人的な印象の話で、他人の事なんて分からなくて当たり前なんだけど、
と彼女は下ろしている髪を掻き上げた。
目はすぐに逸らされ、毛先を右手の指にくるくると巻きつけながら「あなたは繊細だから…」と苦笑する横顔に自分もバレていたのか、と苦笑いだ。

「でも、分からないからこそ、伝えようとするし、分かりたいって思うわけでしょう？
　あなたはそういう努力を諦めている所ない？」

僕はハッとした。
彼女は卓上に投げ出された僕の手をそっと握り、潤んだ瞳で問いかけた。

「どうなの？」

と。

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