夢が叶う 3 2 1 ページ7
「んー、特に大丈夫かと。」
「畏まりました！」
また曖昧な返事。
その裏には“残って仕事して努力や誠意を見せろ”というメッセージが込められている。
が、知るか！
11時に出社して23時に退社する会社が他にあるかよ。ねーよ！
どんだけ非効率なんだよ。
中三の教科書にも書いてありますよ、同意を目指すには効率と公正が大事だって。
鬱陶しい視線を無視して片付けを始めた。
あとは先方からの連絡待ちらしいんだけど。
それってこんな時間に来るの？
仕方なく再来月に締めの業務に取りかかっていると、ゆっくりとドアが開かれた。
「すみません、Aさんいますか？」
「カイくん！」
こんなド田舎にAさんの理想とする背の高いイケメンが現れたので、ざわつくご同僚の皆さん。
一気に集まった視線も物ともせず、カイくんが私のデスクまで来てくれた。
(通路側で良かった！)
そして、ぽすん。
大きな手を定位置よろしく私の頭の上に置いた。
「ヌナ、ちゃんと迎えに来たよ。帰ろう？」
顔を覗きこまれて、ハングルで囁かれた。
ヤバい、顔熱い。
じわーっと耳まで赤くなる音が聞こえる気がする。
まさか本当に来てくれるとは思わなくて。
こんなの本当に初めてで、どうしたらいいのか分かんない。
俯いて両手で口を押さえたら、頭上でカイくんがくすりと笑うから。
大人しく こくんと頷く。
満足げなカイくんに頭を撫でられた。
「Aさん、そちらの方は…？」
申し訳なさそうに上司が尋ねてくる。
でも、ごめんなさい。胸がいっぱいで声が出ないの。
うー‥と目を瞑ると、代わりにカイくんが答えてくれた。
「急にすみません。
Aさんと一緒に暮らしています、カイと申します。」
「ああ、どうも！」
「いつもお世話になっています。」
「いえ、こちらこそ！」
あの上司とカイくんが喋ってる！
「Aさん、病み上がりでまだ良くないんです。
もう連れて帰っていいですか？
僕の大切な人なんです。」
「どうぞ！こちらこそ遅くまですみません！」
上司の許可が降りると同時に、カイくんが私を抱き寄せ、立たせてくれた。
当たり前のように腰へ回される腕に堪らず抱きついた。
「よしよし、辛かったね。」
ハングルで再び囁かれた言葉。
ギュッと抱きしめ、頭を撫でてくれるから、
私の涙腺はゆるんでしまった。
「ジョンイナー‥まなごしぽっそ。」
「はは、僕も。」
カイくんの親指が少しだけ乱暴に涙を拭う。
ふふ、と笑えば、ちゅっと頬にキスされた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 282人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ageha(プロフ) - もっちさん» ちなみに、今ミンソギヒョンが一番の推しメンです！ (2015年12月19日 0時) (
レス) id: 637dbcfcc6 (このIDを非表示/違反報告)
ageha(プロフ) - もっちさん» ありがとうございます！本当に勢いだけで始めたので、楽しんでもらえて嬉しいです。カイくんファイティン!!そして、今から次の方を投下しまーす！ネタ切れしたら萌えをください！ (2015年12月19日 0時) (レス) id: 637dbcfcc6 (このIDを非表示/違反報告)
もっち(プロフ) - どうしよう！酔ったべくちゃんにもヤバ〜イ と思ったし、ドさんもやりおるな！って感心してたけど……しうちゃんがたまらなくステキング↑( *´艸｀)カイくん、頑張らないとしうちゃんがガンガン来ちゃうなぁ(笑) (2015年12月18日 6時) (レス) id: bd62209fae (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ageha | 作成日時：2015年12月15日 6時
