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「あれ？ジュンちゃん‥？」
学校帰り、駅で懐かしい人に会った。
正面の学生服店が掲げる横断幕と目の前の人物を交互に見やる。
【Aさん、インターハイ出場おめでとう】
「あれ、おまえのこと？」
「そうのようだね。」
「やっぱりおまえって凄いんだな。」
「いやいや、全国模試１位さんが
何を仰いますやら。」
そういう彼女だって県80位以内から外れたことがないと知っている。
流れで駅から途中まで一緒に帰る。
お互い高３になっていた。
「そういえば一緒に帰るの初めてだな。」
「ジュンちゃん、いつもカノジョと一緒だったもんね。」
「‥たまには男子と帰りたかった。」
「愛されてるんじゃん、ご馳走さま。」
コンビニの前を通りかかると、自動ドアが開き、体格の良い男子が数人飛び出てきた。
「「「A先輩、お疲れ様です！！！」」」
「ああ、お疲れ。」
坊主頭の強面が一斉に頭を下げた。
目が合うとこっちにも元気よく「こんにちは！」と挨拶してくる。
ビビりながら会釈した。
「「「失礼します！！！」」」
「気をつけて帰ってね。」
電車組らしく駅へと駆けていく彼らを見送った。
「‥威勢のいい子分？が大勢いるようで？」
「まさか、体育会系なだけだよ。
寮生は少ないし、部が違っても皆顔見知りなんだ。」
「おまえは地元生だろ？」
「ありがたいことに顔と名前が売れてるようで。」
私は向こうの名前も知らないけどね。
目を伏せた彼女の睫毛が寂しげに揺れた。
小学生の頃から男勝りで信者が多かったように見えるが、彼女は今も一人でいるのだろうか。
小中と浮いた話は聞いたことがなかった。
「とりあえず連絡先交換する？
さすがに高三なら持ってるだろ、携帯。」
「ん？あぁ。あんま使わないけど。」
教えられた番号にワンギリする。
「これ、オレの。」
「うん、‥登録できた！」
「帰ったら、
ショートメールからメアドも送るから。」
別れ道はすぐそこまで来ていた。
「OK，メールする。」
「じゃ、また会えば。」
「よろしく。」
手を振って別れる。
久しぶりに軽い足取りだった。
帰宅後、携帯を手にするもなかなか文面が思い浮かばず‥
風呂上がりにアドレスだけ送る。
すぐ返信が来た。
【待ってたよ、ありがとう。】
はにかむ彼女が目に浮かぶ。
アドレス帳に連絡先が増えた。
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作者名：ageha | 作成日時：2022年3月18日 19時
