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中１で隣の席になった彼女がその後同じクラスになることはなかったが、
カノジョとは何故か３年間同じクラスだった。
中３の全校集会。
隣のクラスも整列を終え、久しぶりに彼女の隣に並んだ。
並んだ？
「‥ちょっと待て。
Aさん、背比べしよう！」
中学になったって整列は背の順だ。
ようやく背が伸びてきたオレは後ろから数える方が早くなっていた。
(もちろん彼女は後ろから二番目のままだ)
怪訝そうな彼女と近くにいた男子に声をかける。
「なぁ、どっちが高い？」
「あー‥ジュンミョンだな。」
まじか。
「え、A、何センチ？」
人前だということも忘れて昔のように呼び捨てしてしまう。
「‥165cm」
「オレ173cm！勝ったな!!」
対して変わらんやんという友人の白い目には気づかないふり。
だって8cmも違うんだ。
「っしゃぁ！ようやく背を抜いた！！」
「‥そだね。」
「‥良かったな」
呆れたような二人の声に、すごく嬉しかった気持ちが一瞬で消える。
彼女の横顔をまじまじと見つめた。
オレの視線に気づいた彼女がふんわり笑った。
「最初から分かってたことじゃない。」
隣で微笑む彼女が知らない女性に見えた。
集会が始まってお互い前を向く。
「‥もう陸上はやらないのか？」
「女子の中で一番になったって意味ないもの。」
視線はそのままに小さい声で話しかけたけれど、返す言葉は見つからなかった。
高校は彼女も自分と同じ公立の進学校を志望していたと聞く。
近所の大人たちはスポーツ推薦で地元の私立に進学したと思っているようだが、、、
彼女は今、帰宅部だ。
走っている姿を見かけることもない。
彼女のクラスにいる友人にそれとなく聞けば、休み時間は図書館で勉強しているそうだ。
集会以降、彼女に会うことがないまま、合格発表当日を迎えた。
校門を潜ろうとしたら、出ていく彼女とすれ違う。
親と一緒に車で見に来ている人が多い中、彼女は電車で一人やって来たらしい。
「A、」
「‥ジュンちゃん、はよ。じゃあね。」
肩を落とし足早に去っていく。
後ろ姿は記憶よりずっと小さく見えた。
オレはというと。
主席で新入生代表に選ばれた。
両親はとても喜び、今日はご馳走だと騒いでいた。
けれど、瞼の裏には彼女の泣きそうな顔が焼きついていた。
卒業式の日も。
多くがカップルで帰る中、彼女は一人で下校していた。
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作者名：ageha | 作成日時：2022年3月18日 19時
