2 ページ3
⋆⋆⋆
中学に上がると、学区が大きくなった。
二つの小学校出身者たちが合流し、クラスも増えた。
背が高くなることを期待して入ったバスケ部は男女とも開放的な子が多く、急にレンアイが現実味を帯びてきた。
「入学したときから気になっていました。
付き合ってください！」
人生初の告白を僕にくれたのは、女子バスケ部で一番背の低い子。
隣の小学校から上がってきた子だった。
色が白く、体操服からのぞく手足はほっそりして折れそうで。
初めて見たときは、バスケットボールなんて重くて持てないんじゃないかと思ったほど。
まっすぐ伸びた黒髪、まっすぐ見上げてくる瞳に吸い込まれる。
「‥うん、僕でよければ。」
気づいたらYESと返事していた。
もちろんオツキアイも初めて。
「ジュンミョンくん、一緒にかえろ？」
「うん、いいよ。」
姉が読んでいるという少女マンガに憧れるというカノジョはかわいらしい。
言うことを何でも聞いてあげたいと思った。
クラスで最初のカップルとなった僕ら。
隣に並ぶだけで周りはベタに囃し立てる。
気分は良くなかったが、カノジョは嬉しそうに頬を染めるから、慣れるまでの辛抱だと腹を括った。
一緒に帰るようになって二週間。
事件は起きた。
休み明けに一人で登校すると、
「ジュンミョンくん、サイテー！」
通りすがりに話したことのない女子から怒られた。
「ジュンミョンやるじゃねーか！」
渡り廊下で隣のクラスの男子から肩を組まれる。
教室に入ると一斉に視線が集中した。
「何、どういうこと？」
友人に恐る恐る尋ねれば、“カノジョ”がオレにキスされたと触れ回っているらしい。
「は？」
「しかもそのまま押し倒されたとか。」
「‥あり得ない。」
「だろうな。」
オレの性格をよく分かっている友人が宥めるように肩を叩く。
それから一日至るところで噂され、白い目で見られる。
オレのHPはあっという間に削られていった。
「‥しんどい。マジやめてくれ。」
一晩明けても事態は変わらず。
時間をずらして登校したものの、席に着くなり机へ突っ伏した。
「あー‥ドンマイ、ジュンちゃん。」
「あー‥Aさん？はよ。」
「おはよう。」
中学で初めて隣の席になった“彼女”は小学生の頃は皆から一目置かれていた。
オレが素で話せる唯一の女子でもある。
⋆⋆⋆
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 37人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ageha | 作成日時：2022年3月18日 19時
