ダズル 2 (Kei)

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会いたい…

会って、ちゃんと話がしたい。









声が聞きたい。

伊野尾先輩とご飯が食べたい。









一緒にお買い物がしたい。

一緒にアイスを食べたい。









……一緒のお布団に入りたい。









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「はぁ…」









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伊野尾先輩が居なくなってから一ヵ月と数日。

先輩はまだ帰ってきていない。









冬美さんと連絡先は交換したけれど、

先輩のことは何も教えてくれない。









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「はぁ…」









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休日のはじまりがため息なんて、

自分でも呆れてしまう。









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「んん…」









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目を覚まして、スマホの時計を見ると、もうお昼前。

カーテンを開ければ、ザーと雨が降っていた。









先輩ならきっと、こんな雨の日でも

ぶらっと、散歩するんだろうな。









先輩、見た目や性格とは裏腹に

意外とアクティブだったし。









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だけど、そんな気分になれるはずがないし、

今日一日は家を出る気分じゃない。









授業もバイトもないし、

家でゴロゴロしてよう…









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「……さいあく。」









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出る気分じゃなかったけど、

冷蔵庫のなかは空っぽ。









仕方なく、近所のコンビニへ

行くことにした。









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どうせ誰にも会わないだろうと、

寝癖でボサボサの髪に、部屋着のスウェット姿。









会ったとしても、マスクと眼鏡してたら

誰も気づかないだろうし…









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「ふわぁ…」









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ここ最近、本当に眠れない…









いや、寝てはいるけど、

熟睡はできてないというか…









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「ふぁ…」









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一度、二度と。

大きな欠伸を溢しながら財布とビニール傘を取る。









お昼前だし、サンドイッチでいっか。

ついでに、牛乳と卵も買っとこう…









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そんなことを寝惚けたまま考えて、

玄関のドアを開ける…









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