ダズル 2 (Kei)

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大貴「ヘン?」









.









有岡先輩の手が止まって、目が合った。









.









自分でも、何を言っているか

分からない。









ただ、今はお酒の力を借りて

今の心情を口にして…









.









「何も楽しくないし、

ご飯も美味しいと思えないんです。」









大貴「うん。」









.









「何か物足りなくて、

まるで空っぽになったみたいで…」









大貴「うん。」









.









「あの人が居なくなることを、

ずっと望んでいたことなのに……









居なくなったら寂しくて、息苦しくて…

私の生活、おかしくなったんです…!」









.









舌が早くなって、

有岡先輩に当たってしまう。









.









……違う。

おかしくなったんじゃない。









私の世界は、簡単なモノクロの世界に逆戻りして

“つまらない私”になったんだ。









.









伊野尾先輩が消えて、

“寂しい”と思う自分がいた。









嵐なんか起きない、求めていた平穏な日常は

“つまらない私”だった。









.









……私は、知らないうちに

伊野尾先輩の居る生活に慣れてしまってたんだ。









.









大貴「そっか。」









.









酔いを冷まそうとしてるのか

冷水を飲んでぶるぶると頭を振る有岡先輩。









まるで、トイプードル。

猫っぽい伊野尾先輩とは正反対。









.









大貴「そのねこちゃんも

寂しがってるんじゃないかな。」









「え…」









.









正反対だけど…









.









大貴「だからさ。早く帰ってくるといいね。

Aちゃんのねこ。」









.









有岡先輩のその言葉は、その笑顔は。









すごく暖かくて、

少しだけ、泣きそうになった。









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